管理人: 2006年9月アーカイブ

 町屋は地下鉄千代田線、京成本線、都電荒川線の交差するところ。開発が急速にすすんでいて、古き下町の面影をどんどん失ってしまっている。そのビルの硬質な景観が嫌なのでいつも通り過ぎる街だ。そんな町屋ではあるが、ある日知人との立ち話から「町屋に小林というつけ麺のうまい店があるんだよ。飲み屋なんだけど」という話を聞かされ、「それじゃ地図でも書いてくれよ」となって手帳に挟んで置いた。
 そして時間を見つけて千代田線に乗り込んだのである。知り合いから渡された地図は駅と道路・線路の線だけで、あとは「小林の」赤い丸。このあまりに簡単な地図を頼りに、町屋でも古い家並みが残る一角に向かう。それでも店はすぐに見つかった。

 そこは狭い路地に立つマンションの一階。幅2メートルほどの店、カンバンには「もつ焼き 小林」。引き戸を開けると奥が深くて薄暗い。入るとすぐ右手に厨房、モツ焼きの台。カウンターが奥に続き、一番端にモツ煮込みの鍋がある。モツ焼きの台の前にはオヤジさん、奥の鍋前には女将さんが立っている。
 まだ早い時間なので客はボク一人。「つけ麺」の前にモツ煮込み(5本で550円)をお願いする。それと梅ハイ(380円)。ここのモツ煮込みは串に刺さって鍋のなかでで踊っている。鍋の縁に菜箸が置かれているのは勝手にとれと言うことかも知れない。でも女将さんが目の前にいるので「モツ煮込みください」というと、鍋をなんども探って串刺しのモツ煮込みを皿にのせ、さっと煮汁をかけ回し出してくれる。

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 このモツ煮込みがよく煮込まれ、しかも味付けも上々でうまい。梅ハイを飲みながらもついつい鍋でくつくつ煮えるモツを眺めてしまう。女将さんが鍋からモツ煮込みを取りだして、またバットからモツ煮込みの串を補充している。どうも煮込の汁はなんども漉しては継ぎ足し、漉しては継ぎ足ししているようである。皿の煮汁をすすると、適度な塩味とモツの旨味が感じられてとてもうまい。失敗したのは梅ハイ。「梅割のソーダ割」だと思っていたら「酎ハイに梅干しが入ったもの」だったのだ。2杯目からはただの酎ハイ(330円)に変える。

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 モツ煮込みの味がいいので酎ハイがすすむ。そして「ガツ刺し」を追加する。ときどき下町を無駄歩きするようになって覚えたのが茹でたガツのうまさ。これは豚の胃袋であったはず。ガツを細長く切り、酢醤油がかけてある。これもいい味だ。

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 また酎ハイを重ねてしまう。そしてまだもの足りない。考えてみると最近、昼食をとらないことが多く、空腹なのでやたらにアルコールがうまいのだ。最後に焼き鳥(5本で400円)。大好きなレバーを2本入れてもらって、また酎ハイ。締めに日本酒を一杯。

 そして締めの締めに「つけ麺」を平らげて店を後にする。少々食べ過ぎた。千代田線町屋駅に向かっていると、ちょうど荒川線に三ノ輪橋行き電車が見える。ふと思い立って飛び乗り、三ノ輪橋まで。そこから常磐線の南千住まで無駄歩きして東京駅に向かう。

小林 荒川区町屋2の8の16

 この「一ノ蔵」を初めて飲んだのはもう20年以上前のことだろう。当時宮城県と言えば「浦霞」しか思い浮かばなかったとき。愛読していた季刊誌「四季の味(この雑誌、20ダイから30代初めにはなかなか影響を受けた。今ではあまりに子供っぽくて読み返す気にもなれないのだが)」で取り上げられていて、デパートで買ってさっそくひと瓶あけてしまった。まだ等級制度のあった時代で、しかもこの等級というのがいかがわしいこと限りなしの曖昧模糊とした代物だった。それを申請しないと言う意味合いの「無鑑査」なのである。それを等級制度のなくなった今でも銘柄にそれを謳っても決して飾りではないところが凄いと思う。
 1988年には宮城県の酒蔵まで行って買いもとめたこともあったのだ。当時宮城県は道路はがたがた、大変な旅であったのを思い出す。そして岩手の海岸線での野宿。聞こえるのは海鳥の声だけ、塩釜の市場で買い求めた肴で半分ほども飲んで、窮屈な車内で熟睡した。その朝の海辺の光景は今でも忘れられない。
 さて、どうして「一ノ蔵」がいいのかというと、「高い銘柄も安い銘柄もおしなべて優れている」がためである。この1700円代の安酒の味わい、決して平凡な酒蔵の2000円台後半のものと変わらないレベルをたもっている。なにしろ適度に切れがあるのだけど、ず〜んと続くダレのない辛み、その上、舌を満足させる旨味、このバランスのよさは素晴らしいと思う。
 ちょっと褒めすぎたので、この酒で気になるところを一点。たぶん酒蔵として味わい造りのイメージングがしっかりしているのだと思う。例えば「飲みやすく、しかも飲み飽きない」とか。でも「あばれる」味わいを極力抑えているために無個性であるように思えるのだ。決して飲みやすくない「菊姫」のやり方もある。20年前からたぶんグンと醸造量も増えているに違いなく、今でもそうだろうがいつの間にかなんでも作れる大企業に成り下がってしまいそうだ。

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一ノ蔵
http://www.ichinokura.co.jp/
このサイトまことにうるさくじっくり読む気になれない。これはwebクリエーターが幼く少々おろかなのに違いない。もっと成熟した大人のクリエーターにやり直してもらったほうがいい

 奈良は懐かしい地である。高校生のときに遡るが級友にカッコという男がいた。我が徳島県立穴吹高校は劣等生の吹きだまりのようなところ。そこで1年生のときに出会った。コヤツと出会ってからそんなことで34年にもなるのだ。去年帰郷した折に友との語らいがあんまり楽しくて宿泊していた宿を閉め出されたときにも世話になった。考えるとこの男には世話になったことの方が多い。
 コヤツ入学したばかりの教室に現れていきなり「お前の(「の」というのは問い掛けるとき使う。徳島では柔らかな表現)、ラグビー部にはいらんかだ(「だ」というのは「入ってもらえんだろか」といったニュアンスがある)」とボクに話しかけにきた。上級生だろうなとどぎまぎしたら、なんと同級生ではないか。この男、やたらに老けている。まるで中年のオッサンのような顔、そして体形。
 そしてどういうわけだろう、コヤツと仲良くなって高校時代も3年近くが過ぎて、もうあと半年で卒業と言うときに、ボクはとつぜんもだえ苦しむような猛烈な進学欲に駆られてしまったのだ。それで一浪。だいたい高校生の最終学力試験で県下最下位の人間が大学受験する気になったのだから悲惨極まりない(自慢じゃないがそのときまで生まれてから一度も勉強をしてこなかった)。担任、そして高校中の教師から「おかしいだろ」と言われ、禿になり眉毛は抜け、体重が15キロも落ちてしまった。そして1年たってなんだかんだ大学に入ることができて、ほっとして初めてひとり旅に出たのがカッコの下宿先奈良県奈良市佐保なのである。そのとき19歳。
 だれが見ても中年にしか見えないカッコはまるで江戸時代にタイムスリップしたような古建築に下宿していた。そこから少し歩くと佐保路、近くに秋篠寺、光明皇后の施薬院で有名な法華寺や、バスで出れば東大寺、興福寺、春日大社、新薬師寺、十輪院など古刹を見て回る日々を送ることが出来た。
 実をいうと浪人と言ってももともと勉強なんて大嫌い、受験勉強は半年しか続ける根気がなかった。後の半年は小説と歴史書ばかり読んでいたのだ。当然、和辻哲郎の『古寺巡礼』も亀井勝一郎の『大和古寺風物詩』にも熱中。そんなときに古都奈良に来て息苦しいばかりに古刹巡りをして、帰り着くとカッコ達が酒盛りをしている。その中心にあったのが「やたがらす」である。
 この酒がうまいのか? うまくないのか? わからなかったが、「奈良の酒じゃいっちょうまい」という奈良大学の学生たちの弁を受けて、とにかく毎日1升瓶を開ける日々だった。
 そして30年振りに「やたがらす」がワンカップとして目の前に現れた。神話の世界の3本足の「やたがらす」の絵もそのままじゃないだろうか? この酒が吉野で造られているというので「吉野か、行ってみるかな」なんて気楽な学生時代が懐かしいな。
 味わいは残念がらありきたりなもの。これでワンカップ自体に「やたがらす」が付いていたら太郎も喜んだだろうに。

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●千葉の海人 つづきさんから

北岡本店 奈良県吉野郡吉野町上市61
http://www.kitaoka-honten.co.jp/

 この酒を初めて飲んだのは四谷鈴傳の立ち飲みコーナーじゃなかっただろうか。不思議と記憶に残っているのだからうまかったんだろうな。それを豊田駅近くの普通の酒屋で見つけて買ってきた。ラベルもコピーも昔ならではのもので凝ったところが見あたらない。これなど今時いいではないか。
 そして晩酌にグイと飲んで、あらためて良酒であると再認識した。程良い醸造香(これが強いとうるさい)、最初に来る微かな酸味、そして辛さが長く続いてそのまま喉に消えていってくれる。まことに止まらなくなる味わいで一升瓶があっという間になくなる。これなら飽きがくることなく毎晩やれるに違いない。
 このようなある意味品性のある味わいは普段着の酒を丁寧に造っているから出来るのだろう。しかも酒を飲んでいて富山県福光町に行ってみたくなるのだから不思議だ。

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成政酒造株式会社 富山県砺波郡福光町418
http://www.hokurikumeihin.com/narimasa/

 甲府市は寂しい街だったな。賑わっているのは「オカジマ」というデパートだけだった。その地下の食料品店で仕入れたもの。白いカップに白い線画で昇仙峡が描かれている。そして太冠酒造はお隣、山梨県でも初めて出合う酒蔵だ。
 酒蔵の由緒はホームページで見てもらうとして、ワンカップのこと。ワンカップは言うなれば酒蔵の試飲に近いものと受け取っている。だいたい200円前後のものが多く、明らかに旧二級酒である。値段が安い分、合成酒やもっと雑な酒も多いと思うが、ワンカップがうまいと純米酒や吟醸酒などに期待が持てる。近年、その感を強くしている。
 その伝でいえば「太冠」はうまいワンカップである。比較的飲み口が軽く、夏など氷水で冷やして屋外で飲むのもいい感じ。クルマの運転をしないのならリュックに入れて山の見晴らしのいいところでゴクリもいい。そんな軽やかで、しかも味わいのバランスもいいもの。

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●ワンカップコレクター太郎の評価/今まででいちばん面白い。どこの山だろう。この字(昇仙峡)なんて読むの
180ミリリットル194円
太冠酒造
http://www.taikan-y.co.jp/

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 秋葉原を北におりて目の前にある高層ビル、これがヨドバシカメラだと思って歩いていたら、右手に山手線京浜東北線のホームが見える、その先に「ヨドバシカメラ」の文字。慌てて歩道橋を下りてガードをくぐり、この巨大なカメラ屋で買ったのが充電式の電池3組。値段にして4600円ほど。たったこれだけなのにヘトヘトになってしまっている。とにもかくにも店内が五月蠅すぎる。ヨドバシカメラは客がじっくり品物を選ぶのを邪魔したいのだろうか?
 そのまま帰ろうかなと思ったのだが、アバタノオジサンが神田和泉町にうまい立ち食いそばの店があると書いてきてくれているのを思い出して昭和通を渡る。この神田和泉町はアルバイトで通ったところ。昭和通から一歩路地に入り込むと意外に当時の街並みがそのまま残っている。残念ながら通り沿いの刷毛やブラシの店はなくなっているものの、ここから凸版までの道筋が懐かしい。

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 その路地を撮影しながら歩く内に、とても寂しい通りの奥に小さな赤提灯を見つける。店の前まで来ると扉が半分開け放たれて、帰宅途中のサラリーマンが立ち飲み中。よく見ると一人客もいるようで、ふらりふらりと引き寄せられる。入ってみると店のシステムがわからないので奥の四角い厨房の前でなすすべもなく、やっと煮込みと酎ハイをお願いする。その小さなスペースでは焼き鳥を焼き、肴を整えているのが見える。中央にテーブル、両脇にカウンターがあって、一人客は当然、脇もしくは隅っこにくることになる。
 思ったよりも待たされて酎ハイがとどく。この店の酎ハイは氷と焼酎を予め入れて置いて炭酸はビンで来るタイプ。これが酎ハイではもっともオーソドックスな形で好ましい。「酎ハイ」ではなく「酎ハイボール」だったらもっとよかったのだが。
 ヨドバシのボヤボヤガシャガサと五月蠅い中を歩いてきてこの一杯がなんともうまい。そして煮込みが到来。ここにはレンゲが添えられている。なぜなんだろうと思っていたら白モツが小さく刻んであるのだ。そして煮込んだ汁が少し生臭い。これは少し改良の余地がありそうだが、それでもうまいにはうまい。酎ハイを重ねて、珍しいガツ刺しというのを追加。このガツ刺しが二杯酢にショウガでとてもいい。そしてレバーを2本。かれこれ20分くらいはいただろうか? 支払はいちいち済ませるやり方なので正確ではないが合計で1500円ほどだろう。

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ガツというのは豚の腸だったかな。これうまいな。ガツのこと、『大商ミート』で聞かなくちゃいけない

 値段も安いし、料理もいいし、店員の女性もとても気さくで対応が自然である。これならヨドバシカメラに立ち寄った後はここに来て、秋葉原のノイズを落とすのもいい。店のテレビには台風13号の進路が映し出されていて、あさっての高知行きが絶望的なのを知る。

 昼飯抜きで立ち飲み。そのため空腹感が助長されている。結局、アバタノオジサンに教えられた店は見つからなかった(店名は双葉だった)。まったく違う店に入ってしまって、そこそこうまいので半分満足して昭和通りを渡る。
 そして大嫌いな秋葉原の駅に飛び込むのである。昔から大嫌いであった秋葉原の喧噪・ほこりっぽさ、これがますます強大化してオヤジには「一つ目国」になってしまっている。そんなことを考えているとボクと同年輩のオヤジが下りのエスカレーターで嬉しそうにゲームに興じている。コヤツやるではないか! と尊敬の念が浮かぶ。

 この「能鷹」あちらこちらの居酒屋で見かける。それでときどきやるのだが、なかなか切れがよくてうまい。でも最近のそば屋、居酒屋というのは吟醸酒や純米酒を置いてはいるが、普通酒はほとんど見かけなくなった。そんなときに近所の酒屋を覗いたら「能鷹 本醸造」が1700円代で置いてあった。
 懐の寂しいお父さんなので、最近は一升瓶で2000円以下の酒を中心に買い求めている。そんな安酒はつまらないなんて思うかも知れないが、このクラスもなかなか奥が深くて、驚くほどうまいものがあるかと思えば、ぜんぜん箸にも棒にもかからないのもある。
 そんなお父さんが寂しいお小遣いから買った「能鷹」、味はどうかと言うとなかなかよかったのである。「安酒がいい酒蔵は間違いなく上級の酒もいい」この鉄則は未だ間違っていたことがない。この本醸造、思ったよりも味わいが重い、でもその分味わい深いのである。しかも燗をつけてよしなのだ。

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田中酒造 新潟県上越市長浜129の1

 土砂降りの雨、たった40〜50メートル傘無しで走ったら全身ずぶ濡れになってしまって、やっと亀戸駅が見えてきた。そんなときに路地の右手にあったのがこの店である。立ち飲みなら濡れそぼっていても大丈夫だろう。間口の狭さからすると店内は広い。ひょっとするとチェーン店かも知れない。
 店内に入ると左手が厨房。うまそうな焼きトンの煙があがっている。ここで酎ハイ150円、煮込みをお願いする。客は注文が終わったら空いた場所を見つけて待っていればいい。店内にはひとり客が多い。
 そしてすぐに酎ハイが来る。現金で支払おうとすると「金券1000円を買うと100円お得ですから」というので1000円を支払うと、ちょうど煮込みがきて、その分の金券を切り取っていく。蒸し暑い中を雨に追われて走ったせいか、酎ハイがやたらにうまい。すぐに飲み干してレバーと鶏手羽、酎ハイを追加。煮込みに箸をつける。この煮込みは平凡なもので、やや臭みが感じられる。そしてレバーと手羽焼き。これは絶品。
 酎ハイ2杯、酒を1杯で店を後にしたのだが1000円の金券とあと100円コインを2枚で済んでしまった。近々亀戸天神周辺を無駄歩きするのだが、また来ようかな。

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亀戸駅北口からほんの数分

 群馬県榛名山という名だけで惹かれて買ったのだ。いかにも爽やかそうな名ではないか? その上、ラベルまで美しい。いちばん庶民が手を出しそうな本醸造にこれだけきれいなラベルを作るのだから期待大なのである。
 ところが、この酒、僕の好みから大きく外れるもの。淡麗である。口に含んだときにうわっついた辛みがあり、微かな旨味。さらりと喉を通っていくが、いったいどこにこの酒の旨味や個性があるんだろう。辛さも中庸なので切れが悪い。どうもこの酒を造っている人はあまり日本酒が好きではないのではないか? そんな疑問が湧いてくる。大酒のみのボクにはこの酒の方向性がまったくわからない。
 大吟醸などで数々の賞をもらっているようだから優秀な酒蔵なのだろうが、個人的にはまったくうまいとは思えない。また本醸造がうまくない酒蔵はダメだな。

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牧野酒造
http://makino-sake.co.jp/

 福井市から足羽川をかなり遡った山間に城下町越前大野はある。江戸後期の城主、土井家では藩の財政破綻を打開すべく煙草などの産物を大阪に直売店を作る。また藩の船を建造して貿易にまで乗り出す。これは「そろばん武士道」(大島昌宏 学陽書房人物文庫)で読んだんだった。と酒とはなんら関係のないことを書いているが、またまた話はそれる。この越前大野は湧き水の町、そしてそこには天然記念物イトヨが棲息。うまい里芋があり、朝市が開かれる。そして江戸時代の面影が残る家並み。当然、朝市も古い家並みも好きなもので一度だけ訪ねている。この朝市で買った里芋のうまかったこと。
 と、そろそろ酒の話に戻らなければ。その朝市を見に行った折りに越前大野で買った数本の日本酒に「うまい」という記憶が浮かんでこないのだ。どうにも味わいが重く、燗をすることを基本として作られた日向臭い酒ばかりであった。それを今回はワンカップコレクター太郎と一緒に酒屋に行き、勝手に持ってきたのがこれなのだ。不覚にもレジを打つまで気がつかなかった。そしてなんと値段が510円。「待って待って」と言いたかったがちょっと恥ずかしい。結局、いやな出費となった。
 どうして510円かというとこれワンカップには珍しく大吟醸なのだ。きっと吟醸香がもの凄く沸き立つ花花した酒だろう、と思っていた。あにはからんや、ぜんぜん吟醸香が立ってこない。これは香り控えめで味に重点を置いているのだと思ったが、これもほどほど。ワンカップが劣化しやすいとも聞いているが、日本酒専門店であり、別に日向に置いていたわけでもない。「どうしたんだ。これ! 510円はどこへ行ったんだろう?」

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●ワンカップコレクター太郎の評価/ボクが選んだんだから、責任を持って使います。家がいいな。
一乃谷
http://www.itinotani.co.jp/f_main.html

 糸魚川市のスーパーで何気なくカゴにいれたもの。210円であったと記憶する。ボクは透明なグラスに白の絵柄がとてもきれいで好きなのだが、ワンカップコレクター、太郎には物足りないようだ。この絵柄には大人にしかわからない味があるのだ。
 味はなかなかいい。本醸造ではないのだと思うが、糠くささもなく飲みやすい。まじめに作られた普通の酒である。こんなまじめな酒を造るんだから、猪又酒造の他の酒も味わってみたい。
 糸魚川の祭にでも、これが冷やされて振る舞われるとうれしいと思う。個人的にはこのように奇をてらわないわかりやすい酒は好きなのだ。

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●ワンカップコレクター、太郎の評価/もっと色を使え
糸魚川市のスーパーで買う
猪又酒造 糸魚川市新町71-1

 新潟県糸魚川市でワンカップを買って以来なんとなく気になっていたのが「月不見の池」である。それが多摩市の小山酒店にあったのである。多摩地区というより日本でも有数の地酒の専門店、「月不見の池」があってもおかしくはない。でも実際に棚に見つけたときは嬉しかったな。
 ワンカップで味わった、その丁寧な味の造りに、きっと本醸造や普通種もうまいはずであると思っていたのだ。持ち帰ってくるなり、いっぱいやってみた。やはりというか当然、室温でも充分切れがいいし、また辛口の中にも味わいが感じられる。嫌みな香り付けがされてないのもいい感じだ。そして今回、ぬる燗でやってみたが、これもよしである。
 小山に行ったら、今度はもっと上級な酒にも挑戦するかな。

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猪又酒造 糸魚川市新町71-1

 ついつい珍しいワンカップがあると買ってしまう。それで大失敗。娘が蟹座だと思いこんでいたらぜんぜん違っていたのだ。しかもこのワンカップが{?」なのだ。
 甲子正宗というのは千葉にはよくいく割には知らなかった。佐倉といえば順天堂、当然「民博」を出している国立歴史民俗博物館もある。ぜひ一度は行ってみたいところなのだ。酒々井はその隣町。この北総が意外に馴染みがない。
 でも「星座をカップにするなど積極的でいいではないか」と思って買ったのである。そう、間違えてもだ。
 でもその積極的な営業方針が味にも反映しているのか? といったら疑問だな。確かに辛口かな。味わいもある。でも400円近くしてこんなものなのだろうか。売り方からして、ここにもっと上をいく旨さが欲しい。でなければあざとい。

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ワンカップコレクター太郎の評価/面白いけど、星座が違うでしょ。だから×
甲子正宗
http://www.iinumahonke.co.jp/

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