管理人: 2008年7月アーカイブ

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 3月の隠岐への旅は「楽しかった」、「大変だった」が相半ばした。
 隠岐の問題点を見る旅であって、その離島ならではの苦しみも喜びもたっぷり感じて、いまだに隠岐の旅のとりまとめができない。

 その打ち上げの席に幼なじみの大谷一雄がやってきた。
 この男、隠岐水産高校の教師なのである。
 徳島県の山奥(徳島県美馬郡貞光町 現つるぎ町)からたどり着いたところが、日本海に浮かぶ島であったというのがまことに面白い。
 また島(隠岐)で会えること自体が奇跡ではないか?
 さて、この男、酒席にくるやいなや
「隠岐にきたら高正宗のまんといけんぞ」
 と切り出した。
 その瞬間、酒席のどこかから「高正宗」をかざす人。
 そうなのだ、隠岐に暮らす人は、とにかく「高正宗」と決まっているようだ。

 閑話休題。
 島根県隠岐で好んで飲まれている「高正宗」だけれど、知る人ぞ知る銘酒である。
 だいたい隠岐でしか手に入らない。
 今回のは松江市在住のヤマトシジミさんからのものなのだが、かなり探して送ってくれたようだ。
 我が親友曰く、
「隠岐には辛口の酒がないんじょ(徳島弁)。唯一高正だけが辛口。値段も安すうて、うまい」
 この男、昔から「酒は二級酒がうまい。一級酒を飲むヤツはアホじゃ」なんて言っていたのだ。
 その「高正宗」が昔のうまい二級酒を思わせる男酒だった。
 とにかく切れがいい。そして味がある。
 適度に雑味があるのがまたいい。

 送ってくれたヤマトシジミさんに「ありがとう」。
 そして一言、“隠岐じゃ黙って「高正宗」”なのだ。

隠岐酒造 島根県隠岐郡隠岐の島町原田

 新幹線広島駅から芸備線に乗り換える。対面シートのジーゼルエンジンのワンマンカーは広島市街をすぐに出て、山に分け入っていく。
 まるでジーゼルカーが山を切り開いていくかのように線路の両側に山が迫る。
 両側に生い茂っている草や木の枝が車両をバサバサ、ときにごつんとたたく。
 こんなところにもJRの経費節減が及んでいるのだろう。
 当然のことだが単線、各駅停車である。
 時刻表を見ると一時間に一本という超がつくローカル線だ。
 車窓から見えるのは山と川、そして水田だ。
 水をはった田には稲が20センチほどに伸びている。
 夏盛りを思わせるほどに山が黒く、そして緑が濃い。
 人家はどれも立派で母屋は入母屋造り、切り妻造りの蔵があって、その切り妻に様々な文様が描かれている。
 このようなゆったりした汽車の旅も久しぶりのことだ。

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美しい三次の街並み。

 1時間以上かけて三次駅に到着する。
 どうして、こんな山辺に来たのかは別項を立てる。
 市役所に立ち寄り、地図をもらっていると「オリンピック」の文字を見る。
 ちなみにボクは現在の形のオリンピックは廃止すべきだ、という意見の持ち主なので、ぜんぜん興味がない。

 さて三次市は十日町と三次地区に分かれる。物資の集散地として栄えたのは三次であって、駅のある十日町には古い街並みも情緒もない。
 また残念なことに三次市役所の観光課はダメだな。地元の情報に乏しいし、職員さんの知識欲も薄い。
 もしも三次に来ることがあればお金はかかるが、まずタクシーにのって見ることだ。
 この運転手さんの地元の知識は素晴らしい。
 三次市役所など、引退したタクシー運転手さんなどを臨時に雇うべきではないだろうか?
 観光ガイドには載っていないが三次市は、すばらしくきれいで、たくさんの優れた店(小売店)がある。

 この旧三次で見つけたのが「白蘭酒造」だ。
 見るからに古い堂々たる建物で、造りからすぐに酒蔵であることがわかる。
 ここで直接買い求めたのが、純米原酒だ。

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 広島の酒というと、甘口であるとして見つけても躊躇して三歩下がる思いがする。
 それでは広島の山間部の酒はいかがなものか、これがとてもうまいかったのだ。
 原酒であるからアルコール度数が高い。濃厚である。
 それでも淡麗に思えるし、さっぱりしている。
 そして原酒の飲み方の定番としてひとかけらの氷を放り込む。
 精米歩合60パーセントだから吟醸酒になるのだろう。
 氷を浮かせた途端に吟醸香が浮き上がってくる。
 三次市「白蘭」はいい酒である。

 この酒は、ナイトキャップにいい。
 じっくりゆっくり香りや旨味を少量ずつ楽しむ。
 疲れ果てたときに妙薬となる。
 
白蘭酒造
三次市三次町1550-2

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