土曜会(築地土曜会)のnaohnaohさんにいただいたもの。
ラベルの『宮坂醸造』というので「真澄」の蔵だなとは思ったものの、なんとなく「今更だな」なんて不遜なことを思ってしまった。
ちょっと寄り道になるが、ボクの地酒遍歴の始まりが、この『宮坂醸造』の「真澄」である。今から30年以上前のこと。学生時代に暮らしていたアパート近くの酒屋(あの頃1970年代の末頃は酒のディスカウントなんてなかった)で面白い名前だなと思って買った。それがうまかったので、以来お金に余裕のあるときには真澄の一級酒を買うのが楽しみとなっていた。
当時、マスコミや書籍を見ても地酒なんて言葉すら見いだせなかったと記憶する。それが開高健のエッセイに「真澄」の文字を見つけたときには、なんだかうれしい気持ちになったものだ。
薄れかけてきた「真澄」の思い出が「みやさか」の一杯で大きく蘇ってきた。
精米歩合50パーセントということは吟醸酒であるのだけど香りはやや控えめだ。口に含んだ第一印象は平凡に感じる。まず舌に辛みがきて、次いで適度な旨さと甘味がくる。そのまま辛さは通奏低音のように消えないで舌に残り、甘味旨味はほどなく去る。あまりにも喉越しがいいので四合瓶があっという間になくなる。この四合飲む間、じょじょに旨口に思えてくるのは山廃のためだろう。また、この「みやさか」はある程度、酒飲みに徹した人にしかわからない、嫌な言葉だが“通好み”の酒と言えそうだ。最近流行の“うるさいくらいに華美”な酒とは一線を画している。
つけ加えるようだが、この酒、凄さを感じたのは飲み終わってからだ。四合飲みきって、まだ飲み飽きない。『宮坂醸造』というのは優れた酒蔵なんだな、と改めて感じた一瞬である。
話はそれるが、今年の目標に諏訪湖に棲息するナガブナを探すというのがある。我が家から諏訪湖まではほんの1時間少々。その諏訪漁協があるのが『宮坂醸造』のある諏訪市なのだ。諏訪で魚貝類を探す旅のお土産は「真澄」だなとも思う。
naohnaohさんに感謝します。