日本酒図鑑の最近のブログ記事

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島根県は意外に知られていないが酒所なのである。
その味わいは一定ではなく、淡麗なもの、濃厚で旨みのあるもの。
扶桑鶴は淡麗でいながら、ほどよく旨みを感じるもの。
島根に行くたびについつい買い求めてしまう。
そんな酒である。
 
2009年2月16日
扶桑酒場 島根県益田市中島町

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四国から大阪に渡って、できるだけ早くダウンしたかった。
私事ながら、いわゆる仏事などというものが大嫌いなのだ。
疲れ果てて阪神百貨店で酒を探す。
このデパートの食品売り場は日本一すごい(いろんな意味で)と思うが酒売り場だけはダメダメに思える、それでもホテルでできるだけ早くベッドに潜り込みたいときだから、まことに致し方なく酒を探したのだ。

そこに若鶴酒造の営業マンとおぼしき男性が、熱心に試飲を勧めてくれる。
最初に試した純米酒はちょっと好みから外れるものだったが、この「純米吟醸 無濾過生原酒(1425円)」がよかった。
本当の気分最悪の一日を納めるに十分な酒と思われたのだ。

これが実際大正解だったようだ。
ほどほどの吟醸香があり、嫌みではない。
しかも辛口であって、ほどよいこくが感じられる。
結局4合瓶を空けて、一気に眠りにつく。
若鶴酒造営業マンに感謝。

若鶴酒造
http://www.wakatsuru.co.jp/

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 3月の隠岐への旅は「楽しかった」、「大変だった」が相半ばした。
 隠岐の問題点を見る旅であって、その離島ならではの苦しみも喜びもたっぷり感じて、いまだに隠岐の旅のとりまとめができない。

 その打ち上げの席に幼なじみの大谷一雄がやってきた。
 この男、隠岐水産高校の教師なのである。
 徳島県の山奥(徳島県美馬郡貞光町 現つるぎ町)からたどり着いたところが、日本海に浮かぶ島であったというのがまことに面白い。
 また島(隠岐)で会えること自体が奇跡ではないか?
 さて、この男、酒席にくるやいなや
「隠岐にきたら高正宗のまんといけんぞ」
 と切り出した。
 その瞬間、酒席のどこかから「高正宗」をかざす人。
 そうなのだ、隠岐に暮らす人は、とにかく「高正宗」と決まっているようだ。

 閑話休題。
 島根県隠岐で好んで飲まれている「高正宗」だけれど、知る人ぞ知る銘酒である。
 だいたい隠岐でしか手に入らない。
 今回のは松江市在住のヤマトシジミさんからのものなのだが、かなり探して送ってくれたようだ。
 我が親友曰く、
「隠岐には辛口の酒がないんじょ(徳島弁)。唯一高正だけが辛口。値段も安すうて、うまい」
 この男、昔から「酒は二級酒がうまい。一級酒を飲むヤツはアホじゃ」なんて言っていたのだ。
 その「高正宗」が昔のうまい二級酒を思わせる男酒だった。
 とにかく切れがいい。そして味がある。
 適度に雑味があるのがまたいい。

 送ってくれたヤマトシジミさんに「ありがとう」。
 そして一言、“隠岐じゃ黙って「高正宗」”なのだ。

隠岐酒造 島根県隠岐郡隠岐の島町原田

 新幹線広島駅から芸備線に乗り換える。対面シートのジーゼルエンジンのワンマンカーは広島市街をすぐに出て、山に分け入っていく。
 まるでジーゼルカーが山を切り開いていくかのように線路の両側に山が迫る。
 両側に生い茂っている草や木の枝が車両をバサバサ、ときにごつんとたたく。
 こんなところにもJRの経費節減が及んでいるのだろう。
 当然のことだが単線、各駅停車である。
 時刻表を見ると一時間に一本という超がつくローカル線だ。
 車窓から見えるのは山と川、そして水田だ。
 水をはった田には稲が20センチほどに伸びている。
 夏盛りを思わせるほどに山が黒く、そして緑が濃い。
 人家はどれも立派で母屋は入母屋造り、切り妻造りの蔵があって、その切り妻に様々な文様が描かれている。
 このようなゆったりした汽車の旅も久しぶりのことだ。

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美しい三次の街並み。

 1時間以上かけて三次駅に到着する。
 どうして、こんな山辺に来たのかは別項を立てる。
 市役所に立ち寄り、地図をもらっていると「オリンピック」の文字を見る。
 ちなみにボクは現在の形のオリンピックは廃止すべきだ、という意見の持ち主なので、ぜんぜん興味がない。

 さて三次市は十日町と三次地区に分かれる。物資の集散地として栄えたのは三次であって、駅のある十日町には古い街並みも情緒もない。
 また残念なことに三次市役所の観光課はダメだな。地元の情報に乏しいし、職員さんの知識欲も薄い。
 もしも三次に来ることがあればお金はかかるが、まずタクシーにのって見ることだ。
 この運転手さんの地元の知識は素晴らしい。
 三次市役所など、引退したタクシー運転手さんなどを臨時に雇うべきではないだろうか?
 観光ガイドには載っていないが三次市は、すばらしくきれいで、たくさんの優れた店(小売店)がある。

 この旧三次で見つけたのが「白蘭酒造」だ。
 見るからに古い堂々たる建物で、造りからすぐに酒蔵であることがわかる。
 ここで直接買い求めたのが、純米原酒だ。

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 広島の酒というと、甘口であるとして見つけても躊躇して三歩下がる思いがする。
 それでは広島の山間部の酒はいかがなものか、これがとてもうまいかったのだ。
 原酒であるからアルコール度数が高い。濃厚である。
 それでも淡麗に思えるし、さっぱりしている。
 そして原酒の飲み方の定番としてひとかけらの氷を放り込む。
 精米歩合60パーセントだから吟醸酒になるのだろう。
 氷を浮かせた途端に吟醸香が浮き上がってくる。
 三次市「白蘭」はいい酒である。

 この酒は、ナイトキャップにいい。
 じっくりゆっくり香りや旨味を少量ずつ楽しむ。
 疲れ果てたときに妙薬となる。
 
白蘭酒造
三次市三次町1550-2

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 島根県は酒どころなんだな、というのを実際に行くようになって知った。だから島根と限定して酒買いをするのもなんだか楽しい。それで日本橋は『しまね館』(ここの客の対応はぜんぜんダメだね)で四合瓶を1本買いもとめてきた。今回は銘柄ではなく、1500円前後と決めての買い物だ。
 たぶん、ボクの好みからするとこの旭日と言う酒の「戊子」という訳のわからん、変な文字を嫌って普通は買わなかったかも知れない。ボクは単純な酒飲みなので「カッコつけるんじゃない」というタイプの人間である。

 さて酒に変な謂われはいらない、と思っているので、とっととキャップを開けて、どんどん飲む。
 困ったことにこの酒はどんどん飲める。
 山田錦100パーセントで精米度55パーセント、日本酒度プラス6だから、どんどんいけないワケがない。
 ただ、この酒がただものではないと思うのが吟醸香が抑えめで、極めて自然な辛口の酒であることだ。
 これは間違いなく『旭日酒造』自体が優れた酒蔵である証拠だ。
 困った困ったといいながら四合瓶はあっという間になくなってしまった。

 また買いたいというほどにボク好みだ。

旭日酒造
http://www.jujiasahi.co.jp/

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 土曜会(築地土曜会)のnaohnaohさんにいただいたもの。
 ラベルの『宮坂醸造』というので「真澄」の蔵だなとは思ったものの、なんとなく「今更だな」なんて不遜なことを思ってしまった。

 ちょっと寄り道になるが、ボクの地酒遍歴の始まりが、この『宮坂醸造』の「真澄」である。今から30年以上前のこと。学生時代に暮らしていたアパート近くの酒屋(あの頃1970年代の末頃は酒のディスカウントなんてなかった)で面白い名前だなと思って買った。それがうまかったので、以来お金に余裕のあるときには真澄の一級酒を買うのが楽しみとなっていた。
 当時、マスコミや書籍を見ても地酒なんて言葉すら見いだせなかったと記憶する。それが開高健のエッセイに「真澄」の文字を見つけたときには、なんだかうれしい気持ちになったものだ。

 薄れかけてきた「真澄」の思い出が「みやさか」の一杯で大きく蘇ってきた。
 精米歩合50パーセントということは吟醸酒であるのだけど香りはやや控えめだ。口に含んだ第一印象は平凡に感じる。まず舌に辛みがきて、次いで適度な旨さと甘味がくる。そのまま辛さは通奏低音のように消えないで舌に残り、甘味旨味はほどなく去る。あまりにも喉越しがいいので四合瓶があっという間になくなる。この四合飲む間、じょじょに旨口に思えてくるのは山廃のためだろう。また、この「みやさか」はある程度、酒飲みに徹した人にしかわからない、嫌な言葉だが“通好み”の酒と言えそうだ。最近流行の“うるさいくらいに華美”な酒とは一線を画している。
 つけ加えるようだが、この酒、凄さを感じたのは飲み終わってからだ。四合飲みきって、まだ飲み飽きない。『宮坂醸造』というのは優れた酒蔵なんだな、と改めて感じた一瞬である。

 話はそれるが、今年の目標に諏訪湖に棲息するナガブナを探すというのがある。我が家から諏訪湖まではほんの1時間少々。その諏訪漁協があるのが『宮坂醸造』のある諏訪市なのだ。諏訪で魚貝類を探す旅のお土産は「真澄」だなとも思う。

 naohnaohさんに感謝します。

宮坂醸造
http://www.masumi.co.jp/

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 秋田の酒は比較的苦手である。あまりいい思いをしたことがない。その秋田の酒へのわだかまりが一瞬で解消してしまったのがこの「田从(たびと)」という酒である。まったく「ビックリしたなー、もー」と言うヤツで筆舌に尽くしようがない。

 何しろ、これほどうまい酒も少ないだろう。通奏低音のような旨味・甘味・辛さ、そしてもう一つ辛さがあって、こちらはやや鋭角的だ。同じ原酒でも石川の「菊姫原酒」、いわゆる赤ラベルと言うヤツは、重く強く舌を押し下げてくるような旨味があり、ロックにして飲んで初めてうまいなと感じる。それに比べて、この「田从」にはどこか「“穴”という字が天空をさす」ような……、文字にすると「蒼穹」、そんな爽やかさがある。そのためだろうか? 酒の肴もあまり必要とせず、4合瓶がいつの間にか空になっている。

 この「田从」、東成瀬村産のヨネシロという酒米で醸し、3年ほど寝かせて瓶詰めされたものだという。とすると複雑で魅力的な味わいというのは熟成からくるものだろう。

 横手市というのは秋田でも山間部の町である。横手というと誰だって雪深い情景“かまくら”や石坂洋次郎のことを思い浮かべる。ところが舞鶴酒造のある町はそれからまた山間部に分け入り山形県との県境に近い。この町を文字で表現すると「横手と湯沢市の間にあるの町」でしかない。きっと『舞鶴酒造』がなければこの町を記憶することもないだろう。そして酒米を作る東成瀬村はそれこそ岩手県との県境の山地にあるのだ。これは秋田の山懐で作られた酒なんだな、と思うとこのどこか清冽な味わいが秋田の原始の姿と重なってくる。

 また酒造りに男女の差はあるわけがないと、ボクは常々思ってはいるが、この酒蔵の美しい(写真で見る限り)女性の杜氏さんはまだ若いようにお見受けする。それでこんな酒を造るというのは、言うなれば杜氏としての天賦の才をもっているのではないだろうか。

 不思議なことにボクが疲れ果てて、行き詰まりを感じているときに、まるで量ったように“秋田のうまいもの”を送って下さる渡辺賢、淳子夫妻に感謝いたします。

酒のえびな
http://www.a-ebina.com/
舞鶴酒造 秋田県横手市平鹿町浅舞字浅舞184
http://www.osake.or.jp/kuramoto/h321.html

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 海老名市在住の海老さんにいただいたもの。変な話だが、酒の名が「えびなの里」という「えび三連発」がすごいインパクトを感じる。海老名市というのは相模のど真ん中、厚木市のとなりにある目立たない町である。でもその昔、相模国分寺かが置かれた地なのだから由緒正しい。でも相模一帯自体が日本酒と結びつかない。

「相模の酒がうまいのだろうか?」と疑問符を感じながら飲んでいたら、意外にというか、真っ向正面切ってうまい。無名の酒蔵で純米吟醸というと、だいたい強すぎる吟醸香とか、華やかすぎる味わいに幻滅を感じることが多々ある。ところがこの「泉橋酒造」の凄いところは、ややそっけないくらいに吟醸香を抑えている。そして飲み口に旨味が感じられる。杯を重ねて、旨味、辛さ、そして香りを堪能できる。いい酒だ。
「泉橋酒造」を知らないでいたのは隣、多摩地区に住む身には不覚だった。

 海老名の海老さんはかなりの酒豪らしい、そしてときどきその笑顔からもれる言葉に不思議な余韻を持たせる人だ。ひょっとしたら「この酒の良さがわかるかな?」と試された気がする。

 追伸。
 後日、都内各所で「泉橋」の文字を見かける。この酒、すでに日本酒の世界ではある程度の知名度があった模様だ。
 海老名の海老さん、うまい酒、ありがとうございました。

泉橋酒造
http://www5b.biglobe.ne.jp/~izmibasi/

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 さて、「温泉津」と書いて「ゆのつ」と読むのだということから始めたい。島根県は出雲、すなわち県東部は松江などがあり、また出雲大社があって武蔵の国の住人にもなじみ深いのだけど、そこから西に進むと途端に茫漠たる空白の地と化してしまう。
 その石見の国の中央部日本海に面した温泉町が温泉津なのだ。この町、ただただ名前に惹かれて通り過ぎたことがある。すなわち何もしないでクルマで町を通り過ぎた。そのとき見た懐かしい街並みに「切ないくらいにここでひと晩宿を」と思ったものだ。

 さて本題の「開春」。この街並の長閑さとは対照的だったのである、この酒が。ゆったりとした温泉町にこれほど挑発的な酒があるなんて驚きを感じる。普通鄙びた海辺の町では甘ったるい、古くさい日本酒と出合うことが多い。これは漁師という過酷な労働が甘味を欲するせいだろうし、またまだまだ日本酒は燗をしないと飲めないものと思いこんでいる老人達も多いだろう。その古い飲み手に対して「開春」純米超辛口生原酒はまったく意に解しない酒となっている。

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このデータを見ただけで味わいの想像がつくかも知れない。でも想像以上に男酒なのである

 とにかくその一口は鋭い鋭角的な辛さでボクの舌を刺激してくる。そして、さささーと喉を過ぎるときにふわりと醸造香。なんと若々しい挑戦的な酒なのだろう。明らかにこれは超辛口の酒である。この辛さの心地よさは一級品である。この酒なら白身魚の上質な刺身にも合うだろうし、また濃厚な肉料理にも負けないかも知れない。また今回のように真夜中に物思いの友に、酒だけをあおってもいける。
 いつの間にか720ミリリットルを飲み干して、ふとこれは同じ島根県の「王禄」のたどった道を模索しているのではないか? と思いついた。でもこれだけ鮮烈な辛口の酒ができるのなら「王禄」とはひと味ちがった個性が感じられそうである。

 この辛口の酒に、若林酒造の他の品揃えが気になってくる。ホームページを見ると小仕込みの蔵もとであるのがわかる。商品には甘口、辛口の酒が揃っている。しかも値段からしてコストパフォーマンスの高い品揃えと見た。温泉津に宿泊して「開春」というわけには行くまいが、近所の「小山商店」で手に入る範囲でいろいろ飲んでみたいものである。
 この酒を送ってくれた島根の方に感謝するとともに、島根の日本酒侮る無かれ、との感を強くした。

若林酒造
http://www.kaishun.co.jp/top.htm

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 徳島の郷里などで「金陵」の看板はよく見かけている。でもそれが日本酒であることはわかっても、どこからくるのかわからない。きっと兵庫県灘とか、都会からくるもんだと思っていた。それが一山超えた金比羅さんから来ていたとは、バカなことに五十路になるまで知らなかった。自慢ではないが、日本全国、飲んだ銘柄は数知れず。なにしろ酒蔵を見つけたら「絶対に買う」という地酒フリークなのに、この迂闊さには驚くべき。
 と言うことで金比羅さんの参道で立派な金陵の蔵を見学して、観光客のノリで一本だけ買い求めてきた。当然の如く吟醸酒は避けて純米酒にした。
「楠神」という言語の由来は酒蔵のサイトで見てもらうことにして、まずは一献。この一口がうまいのだ。明らかに辛口の酒でありながら、旨味があるので、その旨味とともに辛みが長続きする。だれない。漢字だけで知る「金陵」とはこれほどうまい酒であったのか、と驚きを感じる。ただし特別純米酒というある程度高価な酒での話ではあるが。次回、もう一度帰郷の折には「本醸造」を飲んでみたいと楽しみが増えた思いだ。

西野金陵株式会社 香川県仲多度郡琴平町623番地
http://www.nishino-kinryo.co.jp/

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