酒場遭難記の最近のブログ記事

 旅をすると出来るだけ街歩きをするのが私流、なのだけどこの日はほぼ半日筑後川の上でエツ漁を取材していたので、あまり歩く気になれない。西鉄久留米駅前のホテルを出て、駅にあるスーパーをのぞき、西口に出る。憲法改憲反対の署名をして、駅からまっすぐのびる商店街に入る。ほんの2つ目の横町にあったのが『鳥喜』だ。のれんが下がっていないのは気にくわないが、「有明海と筑後の肴」の文字がいい。

 

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 疲れているので、ここに決定。いきなり引き戸をガラリと開けて入る。思ったよりも広く明るい店だった。右手カウンターの奥に厨房があり、親子らしき板前さんふたり、店を切り回している女性もなんとなくいい感じだ。

 カウンター席に座り込むや出てきた小鉢は飛び鉋で模様づけしている。小石原焼きだろうか。なかに大豆と大正金時の含め煮がこんもりとあり、コイツがなかなかうまい。豆好きにいきなり豆とはなんともうれしい。


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 まずは生ビールで、馬刺しをもらう。馬刺し通ではないが、九州に来るとなぜか食べたくなる。これ上物だろう。

 箸が進む。なぜ店名に「鳥」がつくのか聞いている内にお願いしたのが鶏皮の酢のもので、これもうまし。

 

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 有明海ものをと見ると目の前にアゲマキがある。珍しいことに韓国産ではなく有明海産だという。

 焼いている間に、お酒を見せてもらうと、久留米市の酒所城島の酒「花の露 上撰」をすすめてくれる。常温でいただいたら、実にいい味。私好みの切れのいい酒だ。

 

 ほどなく出てきたアゲマキの焼き加減も絶妙。


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 有明海ものを続ける。今朝食べたばかりのエツ真子の煮ものを、またお願いする。あっさりとした味つけで真子の真味が生きている。


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 ムツゴロウを見せて頂く、これがなんと活けだった。蒲焼きにするというので注文する。活けを蒲焼きにしてもらったのは初めてだが、なかなかいい味である。そしてこれも有明海の珍味「わけのしんのす(イシワケイソギンチャク)」の煮つけを追加。

 

 酒がなくなったので今度もすすめられるまま『天吹』の辛口。こちらは佐賀の酒で、「花の露」よりも辛口でまたまた私好み。九州でも福岡県、佐賀県が日本酒どころなのがわかってきた。


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 追加した肴は「めかじゃ(ミドリシャミセンガイ)」と「まじゃく(アナジャコ)」の天ぷら。アナジャコの1尾は抱卵した雌でアタリ、1尾は雄だった。


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 これだけ食べても、どことなくもの足りない。目の前に長なすがある。これを焼きナスにしてもらう。最後の最後にもう一度ビックリしたなーって味だった。

『鳥喜』、また来たいね−。

 

訪問は201469

そのうち、気がついたのだが、上には座敷があるようだ。
長いカウンターが入り口から奥へとのび、左手に細長い厨房、右手にテーブルがある。
焼き物、おでん、刺身、なんと握りずしにバッテラなんかをこの狭苦しい場所で作っている。
カウンター中程に座ったボクの目の前に、大きなダムエレベーターがあるのだけど、いつも何かが上がり下がりしている。
一階二階とも満席状態のようで、カウンターの客も席を立つ人がいると、すぐに埋まる。
後から後からくるお客に話しているのを聞くと、隣も正面にある店も、この安兵衛の支店らしいのだ。
料理を運ぶオバチャンたちもやたらに忙しい。

「ぼうぜの刺身」が初っぱなの生ビールのときにきて、その後がなかなかこない。
これは酒飲みの定法としては困ったものだ。
だからといって、このにぎやかな店の中にいるのが、不愉快ではない。むしろ楽しい。
肝焼きなんだから、焼き鳥だろうと思って、そっちの方を見ていたら、奥の方からオバチャンが皿を持ってきて、ボクの前に置いた。
おお、なんと肝焼きとは、鶏レバーの甘辛炒め煮だったのだ。

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これがびっくりするほどうまい。
徳島(たぶん関西でも)では鶏の肝を甘辛くささっといりつける。
それがそのまま、非常に味よく出てきた。
この一品、逸品であるな。
たぶんこの店の看板ではないだろうか。

ボクの目の前にある「ぼうせの刺身」を見て板前さんが、
「ゆっくりしてくださいね(このへんは関西弁的なアクセント)。ぼうぜ食べたら中骨揚げるけん(ここは徳島弁)」
「はいはい」
いいね、この時間が。
じっくり刺身を味わって、皿ごと、オバチャンに渡す。
ほどなくやってきた唐揚げがうまかった。
刺身はちょっと高めだが、実はマグロなど以外、地魚などは姿作り・刺身で味わって食べ終わったら、中骨を揚げてくれるのだ。

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柔らかとりは焼き鶏で平凡だったが、その後の焼き牡蠣はなかなかうまかった。
池田の銘酒「芳水」の燗酒がなかなかうまい。
支払いは4000円でたっぷりおつりがきた。
生ビールに燗酒を3杯も飲んで、これならうれしいね。

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この店、所謂食堂であったらしい。
いろいろ定食もあるし、握りずし、バッテラなんかもある。
昔、駅を出てバスロータリーを渡ると右手に二階建ての雑居ビル(三階建てかも、それにあれはビルだったのだろうか)があった。
お土産屋、和菓子の富士屋などが入っていたはず。
小山助学館をはさんで、左手にも同じようなビルがあって、そこに確か徳島食堂というのがあった。

カツ丼やオムライス、すしなどなんでもある。
食堂の定義が中華、洋食、和食が揃うことだとすると、まさに典型的な食堂というやつ。
中学生だったボクはそこでカツ丼を初めて食べた。
その隣では燗酒を傾ける大人がいたのだ。
ふと窓の外、歩道、横断歩道に黒いクルマが止まって、そこから女性が出てきたと思ったら、運転席から男性が飛び出してきて、いきなり女性をバシバシっとしばいた(叩いた)のだ。
一緒に食べていた友達となにも見なかった振りをしてもう一度カツ丼に向かった。
初めてのカツ丼、初めて見た男女の生々しい諍い、それが徳島食堂の思い出なのである。
きっとその徳島食堂が居酒屋になったらこんな感じだったろうな、と思いながら店を出る。

安兵衛 徳島県徳島市一番町3丁目22



徳島も寂れたな、子供の頃から唯一徳島市が都会だと思っていた、生粋の貞光っ子のボクには辛い。
そんな思いで市内逢魔が時を歩く。
その昔、にぎやかだった両国、東新町はどうだろう。
懐かしい丸新デパートがなくなり、シャッターばかりが目立つ。
徳島は昔の良さを資源と考えないで、どんどん捨て去って(ディレート)しまった街のようだ。
このあたりまったく文学的な、自由な発想・能力を大きく欠落させているのが、お役人というもので、また土建業の方ともいえる。
アフガニスタンのバーミヤンの石仏を破壊したタリバン以上に、日本の街作りをする人は危険だというのがよくわかる。
しかもタリバンには信念というものがありそうだが、日本の街破壊者には欲望しかない。
立川談志じゃないけど、「いやだねー」。

なんとなく一杯やりたくなって、歩けど歩けど、うまそうな、惹かれる店がない。
昔飲食店街だった両国には、それなりに店はあるのだけど、一人客ではとても入れそうにない、そんな店ばかりだ。
外から見て。その店のコンセプトが皆目わからない。

ほとんど諦めかけて、駅に近づいたとき、にぎやかな、そこだけぱーっと明るい店を見つけた。
これが『安兵衛』なのである。
路地を入って奥にも一軒、正面にも飲み屋さんがある。
なかでも『安兵衛』は外から一人客が楽しそうに酒を飲んでいるのが見える。

誘われるようにすすーっと入って、カウンターに座る。
女性店員さん、ようするに年齢に関わらずお姉さんが多く、生ビールをとりあえず飲みたいのだけど、なかなか手が空かない。
「生ビール」
「大中小、中でいいね」
うんうんてなもので、腹が空いているので、おつまみを選ぶ。
最初は揚げ物、焼き鳥などがいいが、目に飛び込んで来たのが「ぼうぜ」。
「ぼうぜの刺身できますか」
「できますよ」

「あと肝焼き、柔らかいとりください」
生ビールを一気飲み。

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いいね、この一瞬がうれしいね。
ほどなく「ぼーぜの刺身あがりましたよ」、目の前にイボダイの姿作り。
ボクは密かに徳島を特徴付けるのがイボダイ料理だと思っているのだ。

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「ぼうぜの刺身」がうまかった。
独特の旨み、これが濃いのだ。
これは赤身でもなく白身でもない味わいで、一切れ一切れが口に放り込んで心地よい。
最初から大正解の肴に、少々期待がふくらむのだ。

安兵衛 徳島県徳島市一番町3丁目22


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 この『よあけ』を取り上げるとき、「市場めし」にした方がいいんじゃないかと悩みに悩む。
 しかし、串カツに、いわし汁にエイの肝の刺身、そして酎ハイ、こんなもんが本来健全であるべき朝ご版といえるだろうか?
 画像を見ながら繰り返し考える。
「どない考えても、あんさんにとって『よあけ』は居酒屋ですやろ」
 夢で浪花千栄子(だれも知らへんやろな)風のオバチャンにこないなことを言われてしもうた。
 夢にまで見るほどに『よあけ』の食いもんには衝撃を受けたのだ。
 加えるに、気分よう酒がくいくい飲めたのである。

 さて、三月(2008年の)だったろうか?
 大阪に島流しにあっていたヤガラさん、どさ回りのまささん、ボクの三人で鶴橋の商店街・市場を放浪していたのだ。
 鶴橋の迷路を彷徨い、迷いながら、向こうに千日前通りが見えるな、というところまで来た。
 ふと横を見ると鶴橋でも一際細い、薄暗い路地があった。
 入り口に何故か小さな地蔵堂があり、その隣に紺暖簾が下がる。
 それが『よあけ』だったのだ。
 この店名にピンと来た。
 確か、『大阪下町酒場列伝』に載っていたはず。

 ここでちょっと鶴橋の歴史を『大阪「鶴橋」物語』から。
 鶴橋には戦前から近鉄、国鉄(古くは省営鉄道)、市電(千日前通りを走る路面電車)の駅があり交通の要衝であった。
 第二次世界大戦の末期に空襲に備えるために、防火の意味から建物疎開というのがあり、民家の密集した鶴橋もその対象となる。
 強制的な撤去で駅を中心に広大な空き地となったところに敗戦を迎える。
 この空き地に闇市が出来たのだ。
 交通の便からも大阪でももっとも賑やかな闇市となり、それが時を経ていくつもの商店街となる。
 また戦後、鶴橋地方卸売り市場が出来たことも、この鶴橋の繁栄に一層の拍車をかけたことと思われる。
 『よあけ』から千日前通りにかけては建物疎開の地区ではなかった。
 しかも空襲に遭わなかったために、戦前の建物はそのまま残っていたのだ。
 空き地と、焼け残った街との間隙にできた細長い空間に非常に細長い路地が出来て、細長い建物ができた。
 この細長い建物にあたるのが、『よあけ』なのだ。

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 もうひとつ重要なこと、鶴橋は街全体が市場なのだ。
 なぜなら商店街と市場の違いは些少なもの。
 要するに人が集まるところが「市場」だとしたら同一のものと考えるべき。
 特に鶴橋には5つの商店団体があり、地方卸売市場もある。
 その団体名にも「市場」という文字がついたり、「商店街」という文字だったりして、よけいわからんようになる。
 要するに近鉄、JR、地下鉄、鶴橋駅周辺の非常にごちゃごちゃした地域全部が市場だと思えばいい。
 「鶴橋に行こう」=「鶴橋市場に行きまひょ」と同義なのだ。

 鶴橋市場は楽しい。
 面白いことに、まだ子供の姫と来て、夢中になって迷路を歩き回ったことがある。
 また迷路で出合う世代も様々である。
 ゴチャゴチャした、昭和とコリアンの混ざる「ごった煮めいた(藤田綾子さんの表現をお借りした)」街は老若男女を問わず惹きつける力を持っているようだ。
 さてこれからが「ぼうずコンニャクの酒場遭難記」の始まり始まりなのだ。
 ボクと他オヤジ二名(ヤガラさん、まささん)、若い(?)娘一名(おふるさん)が鶴橋の迷路に酔い、そして『よあけ』の酒に酔う。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
参考文献/『大阪下町酒場列伝』(井上理津子 ちくま文庫) 『大阪「鶴橋」物語』(藤田綾子 現代書館)

 島根県松江に来たら「なにを食べる」。
 宍道湖七珍、出雲そば、和菓子、こう答える人たちはあまりに松江を知らなさすぎる。
 松江に来たら「おでんを食べないけんの」だ。
 市内各所に無数に、膨大にあるのが、おでん屋。
 そのどれもが一定のレベルに達しており、個性的でうまいという。
 これをして人知れず「松江おでん」と呼ぶようになっている。
 じゃあ、旅人におすすめの一軒はどこなんだろう?
 根っからの松江っ子であるヤマトシジミさんに問い掛ける。
「あんまり、教えたくないんですけど」
 この男、まだどこかに出雲人的な考え方を捨てきれてなない。
 出雲人の特徴は「うまいものはこっそり楽しむ」というものだ。
 意地悪なんじゃなくて、あまり見せびらかさない、謙虚なのだ。

 問いつめて、問いつめてあがったのが松江城、県庁からすぐのところにある『有楽』である。
 逢魔が時の寒風のなか、うまいおでんを食うために、太りぎみのボクとヤマトシジミさんが歩く。
 そこに自転車にのったトーボさんがゆらゆらとついてくる。
 歩くほどもなく、広い道路沿いに仕舞た屋風の店があって、それが『有楽』であった。

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 そういえば“なぜ松江市内の道路を広くする必要がある”のか理解できない。
 城下町の特徴として[曲がりくねった、わかりづらい道]というのがある。
 戦国時代まで、城は攻撃から守るものであって、他所から来る敵を混乱させるためにわざと道を複雑に造っている。
 これからの世の中、産業的な町と観光・象徴的な町は完全に分けてあるべきだ。
 松江市などまさに後者でなければならないのだから、出来る限り道路でも街並みでも現在の状態を変えない方がいい。
 むしろ復元に努力すべし。
 道路を造るなら東西に長い県を結ぶ幹線を整備せないけんのではないかね、道を造る人よ。

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 閑話休題。
 店内に入ると、まず目に飛び込んできたのが美しい女性だった。
 いきなりぼんやり頭が固まった状態にいるとき、
「とにかく席につきましょう」
 トーボさんが、現に引き戻すようなことを言う。
 考えてみるとトーボさんとボクとは女性の好みが似ている。
 きっとトーボさんもぼーっとしかけて「いかんいかん」と自制心を発揮。
 ボクにも大きなお節介をしてくれたのではないか?

 閑話休題の閑話休題。
 目の前にあるのが、カウンターでおでんの鍋を囲ってある。
 奥にも席があって、座敷もあるように思える。
 そのおでんのつゆが透明で澄んでいる。
 手前に燗つけの鍋があって、赤銅でなかなか見事なものだ。
 真四角のおでん鍋の前に大量の春菊があって、ときどき美しい女性のお母さんだろうか、女将さんがどさっと放り込む。
 おでんつゆでささっと洗うように煮あげた春菊がうまそうではないか?

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 とりあえずビールと大根、がんもどき、春菊を注文する。
 おでんだから、すぐにやってきて、まずは一口と、食べた大根がうまーい。
 熱つ熱つに冷えたビールがなんともいえない。
 がんもどき、そして春菊がうまい。
「つみれください」
 ヤマトシジミさんがもう追加。
「ここのつみれは最高です。ある意味、松江おでんの特徴でしょう」
 当然、ボクも負けていられない。
 つみれに、燗酒といっきに全開モード。
 つみれのうまさは出色のものだ。
 燗酒は銘柄を指名して「高正宗」。
「隠岐にしかないはずなのに、珍しいですね」
 品書きをみて、ヤマトシジミさんの一言で決めた隠岐の銘酒だ。
 これがさっぱり辛口で燗をしてもうまい。
 おでんを追加に追加して堪能。
 もうこれ以上ない、というときに、
「ここにもうひとつ名物があるんですよ、ほらあれ」
 品書きの下がった札に、コロッケがある。
 一見平凡なジャガイモコロッケがやってきた。

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 これがまことに正統な味わいで毎日でも食べに来たいと思うほどにうまい。
 ついつい美しいお姉さんに「熱燗もう一本」なんて幸せな気分になってくる。
 そして熱燗用に注文した島根の珍味、いかの麹漬け、サバの塩辛がよかった。

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 浜田市名物の「赤てん」もいい。

 さて食べ過ぎるほどに食べて、飲んで、支払いは5000円以下だったはず。
 酔っぱらっていてよく覚えていないのだ。

 外に出ると寒風が気持ちいい。
 こんなとき、トーボさんが
「あのお姉さんきれいだったなー」
 なんて正直に告白するのだ。
 照れくさそうに、トーボさんは自転車にまたがり闇夜に消えていったのであった。

有楽 島根県松江市殿町352
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/

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 大阪には夕暮れ前に着くはずだった。
 着いたらとにかく「歩いてみよう天神橋筋全区間」と勢い込んでいた。
 ところが大阪のホテルに着いて荷物をおいたのが、すでに8時前。
 夜となってしまっては商店街を歩いても意味はないだろう。
 それでも南からのっしのっしと歩いて歩いて、それでも終わらぬ商店街と、人混みに疲れた。
 どこでもいいから座り込みたくなって、思わず暖簾をくぐったのが『松崎屋』。

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 天神橋筋(大阪市)は当たり前だけど、夜というのに賑わっていて、人通りが絶えない。
 それなのに細長く奥に続く店は少々寂しいなー。
 これは失敗したのかも知れない。

 とりあえず、生ビールに大阪を意識して「きずし」にする。
 「きずし」とは「生ずし」と書くのだけど関東では「しめさば」と呼ばれているものだ。
 このように関東での「しめさば」を援用したのだけど、本家本元は関西にあり、と明示しておきたい。
 この「きずし」に三倍酢をかけ回してる、これなど大阪風でいい。
 蒸し暑い日だったので生ビールをもういっぱい。
 初っぱなから「きずし」というのも変なら、次に注文したのが豚バラのキムチ炒め。

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 恐るべし、こんななにげない一品が非常にうまかった。
 ここでやっと酎ハイに替えて、最後の一品は土手焼きだ。

 最初は静かだった店内もほんのつかの間に奥は満員となっている。
 奥に通じる通路沿いのカウンターもお客が埋まり始めている。

 関西で味噌煮込みの牛すじ、コンニャクなどの「どてやき」はどうしてもはずせないものだ。

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 残念ながら、この店には串カツがなく、この「どてやき」が東京から大阪にいろいろ旅しながらたどり着いて「大阪に着いたんだ」と思わせるもの。
 でも最近思うことだが、「キムチポッカ」すなわちキムチと豚肉の炒め物なんて「もっと大阪を思わせる」ものなのだ。

 店の入り口でとてもしんどそうに、ゆるゆる歩く店のオヤジさんに、
「天神橋筋、これから北にどれほどあります」
 聞くと、厨房の奥から
「ここからずーっと行くと天神橋○丁目で、通りを超えて○丁目ですね。それから関線路を超えて」
 なんて聞く内に戦意喪失する。
 厨房には若い衆二人いるのだけど、とても大阪風に優しいのである。
 次回、天神橋を歩くときには、中間地点での一休み、まず間違いなく『松崎屋』だろうね。

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 八王子の市場でよく会ってしまう人が数知れずいて、なかでも気になるのが居酒屋を経営しているやっちゃん(『居酒屋 やっちゃん』)である。その仕入れを見ていると、とても細やかで季節季節に真心を込めています、というのが見えてくる。しかも目新しい魚にもときどき挑戦していて勉強熱心だ。「こんど行くからね」とは言ったものの、なかなかその機会が来ない。そんなとき中央線が人身事故で運行停止となって、京王線でとにかく八王子まで迂回して帰宅することに。となると『居酒屋 やっちゃん』に立ち寄らない手はない。やっちゃんならきっとうまいものを食わしてくれそうだ。

 京王八王子駅からとぼとぼと西に向かって歩く。いつの間にか放射線通りに行き当たり、そのまま16号線が見える手前にくると路地にいっぱい居酒屋が見える。この南町あたりは八王子でも有名な飲み屋街であるらしい。その居酒屋のある路地を左に曲がるとすぐに赤提灯に「やっちゃん」の文字を見つける。
 外からのぞくと、店内がやけに暗い。とても魚貝類を中心にした店とは思えない。そして暖簾をくぐると、そこには縦横が同じサイズの顔、やっちゃんがいたのである。「いらっしゃい」とその真四角な顔が元気がいいし、店を明るく感じさせる。

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 ちょっと無駄話をして、出てきた突き出しが凝っている。天盛りに飛び子、水菜があって、下にイカやホタテ、生しらすがあり、下の方に切り昆布が見える。ここにかかるドレッシングがよく出来ていてうまいのである。

『居酒屋 やっちゃん』は入り口から真っすぐカウンターが続き、その奥に小上がりがあるだけ。カウンターといっても5,6人の席しかなく、小上がりと言ってもテーブルは1つ、2つ。そのカウンターの前が厨房となっていて店全体が狭い。その上、店内が暗いので、なかなかいちげんさんは入れそうにない。

 狭い厨房のやっちゃんの背中越しに「本日のお任せがある」。ここには魚だけで11種類、貝イカタコで10種類も並ぶ。刺身だけに限定しても16種類というのは凄いぞ。

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 ボクは、まずは酎ハイというクチなので、揚げ物が欲しい。そこで見つけたのが「めごちの天ぷら」だ。やっちゃんに仕入れ先を聞くと、魚はどうも福島県産セトヌメリである。
 無駄話をしながらもやっちゃんの手は素早く、それほど待つこともなく、天ぷらが出てくる。その天ぷらが見事なのだ。めごちが5本、小ナスに獅子唐、ニンジンと彩りがよく、たっぷりと豊かな盛りつけだ。

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 これは店の外見からすると、まったく予想外の料理である。めごちがからっと揚がって上品で、塩味だけで食べて味がいい。難しい野菜もうまい。
 酎ハイを飲みきって、熱燗をお願いする。

 なんとなく店内を見回すと女子プロレスのポスターが唐突に貼ってある。「どうして?」と聞くと
「妹(義妹)が中央にいる(仮面の)レスラーなんですよ」
 ここでひとしきり、やっちゃんの美人妻との馴れ初めなどを聞きながら、燗酒を飲む。『居酒屋 やっちゃん』の魅力はやっちゃんの語り口の明るさにあるんだな、というのがわかってくる。

「つぶ貝刺身」を追加する。すると、「身を取り出すことができないんですよ」というので、少し手伝い。貝殻を活かした造りにしてもらう。エゾバイ科エゾボラ属に関しては貝殻を割る必要はまったくないのだが、関東の料理人は未だに取り出し方がわからない、と言う人が多い。これは残念なことだ。それでも出来上がった室蘭産エゾボラモドキの刺身は見事である。

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 盛りつけがキレイだし、つぶのぬめりの取り方もしっかりしている。これだけうまい“つぶ刺し”は関東ではなかなかお目にかかれない。
 ついつい、二合はあるだろうという大どっくりの熱燗を追加して、深酒をしてしまったのだ。

 さて、飲み過ぎて「酒場遭難記」となってしまった。それほどに『居酒屋 やっちゃん』はいい店なのだ。たぶん八王子で「うまい魚を食べるなら」ここがいちばん気安いだろう。かなり遭難寸前なので千鳥足で八王子駅を目差す。

やっちゃん 東京都八王子市南町3-17

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 川本三郎さんのエッセイに出てきて魅力的だなと感じていたのが『斉藤酒場』なのである。その酒場を目差すためだけに、十条に行く。十条は学生の頃なんども来ている。ただただ荷物を帝京病院に届けるという、そのためだけに駅からまっすぐに大通りを歩く。このいつもの経路では面白くないので反対に都営三田線板橋本町から環状7号線、そして駅へと続く商店街を抜けて埼京線十条駅を目差す。
 とにかく駅にたどり着けば、見つかるだろう、なんて思っていたら、全然見つからない。おかしな事にエッセイを読んでイメージしたのが線路の東側。通りを行く人に飲み屋の場所を聞くわけにもいかず、立ち往生していたら、駄菓子屋のような店舗から女性が出てきて掃除をしているのをみつけた。
 この女性によって線路の反対側、しかも駅のすぐそばであることを知る。この迷いに迷った線路の東側が寂しい。ついでに数軒先のこぎれいな酒屋でワンカップを買う。その酒屋の店内の一家団欒の雰囲気も現代にはそぐわないが、でもでも懐かしい。ボクも商店に生まれ育ったのだ。
 その女性が
「あそこはね。本当に古いんですよ。このあたりがまだまだ寂しくてね。商売なんかやる人がここに来るでしょ。そしたら帰りに寄るんですよ。ご飯も食べるんでしょうね」
 この女性が言う、その頃とはいつなのだろう? そんな話を聞くと、なんだか小走りに線路をまた超える。酒場はすぐに見つかった。しかも人気店なのに引き戸を開けると席が開いていたのだ。
 座った途端、
「よかったですね。相撲中継の時間帯はほとんど満員なのに。今日は珍しい」
「そうなんですか」
「相撲の前頭上位だけここで見る人が多いんです」
 地元の方らしき隣の老人から声がかかる。
 店内は真四角で広い。どれくらい座れるのだろう、ほとんど満席に近い。それなのに一人で席についてまことに居心地がいいのだ。
 突き出しの牛肉の佃煮のようなものを女性が運んで来たので、煮込みと、名物の(川本三郎さんのエッセイにあった)カレーコロッケを注文する。
 ボクが入った時間が前頭の上位取り組みの5時半前、これから相撲中継は三役、大関となってきて。店内は完全に埋まった。
 出てきた煮込みがいい味だ。味噌仕立ての汁にはよく油を抜いたモツ、白黒のコンニャク。このコンニャクの食感が特徴的だろう。そしてカレーコロッケはまさに家庭のカレーがコロッケの中に入っているといったもの。これがなんと言っていいのだろう、とてもうまい。2個ではものたりないくらいだ。

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 酎ハイボールを2杯飲んで日本酒にする。女性が伝票にチェックするのを見ると、なんとお銚子が180円なのである。残念ながら最近目の出血がたびたびで視力が落ちてきている。店の厨房側の品書き値段が見えない。
 イナダの煮つけ、煮こごり、ポテトサラダと、酒を重ねる。昼ご飯抜きで歩いた空腹感も冷えた身体もどんどん癒されていく。いつまでもここで座っていたくなる。これはいい酒場に出合ったとき共通する思いである。

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いなだの煮つけは決してうまいもんじゃない。でもよくここまでの一品に仕上げたというもの

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 相撲が終わると地元の方達が一斉に勘定にたつ。そこに店の前で待っていたとおぼしきサラリーマンが空席を見つけて散らばる。この店の一人客度は予想以上に高いようだ。そして気がついたのだが、この居酒屋の魅力はなんといっても給仕してくれる女性たちの親切なこと、また適度に下町的なところだろう。
 小一時間もいただろうか、大衆酒場としては長居の方だろう。少々飲み過ぎて埼京線のホームで受ける真冬の風が心地よい。なぜなんだろう都内にあって旅の空の哀愁を感じる。

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 初めて下りた鐘ヶ淵駅から鐘淵通りを南下する。この鐘淵通りの商店街もまだまだ元気があり、また小さな工場もあってまさに下町気分が味わえる。ながながと続いた鐘淵の商店街も水戸街道とぶつかり終了となる。ここで街道を渡るかどうか迷ってしまう。このまま水戸街道を突っ切って京成曳舟線の八広駅に出て無駄歩きを終わらせるのもいいだろうけど、もの足りないのだ。
 闇が迫ってきている交差点、向こう側を見ると居酒屋らしきものが見える。それが「丸好」であったのだ。店内が見えないので引き戸の前で思案に思案していたら、後ろに人が来て、それに押されるように店に入る。店内はもう9部通り満席である。店のはほぼ真四角だろうか南西の角を四角く厨房にして「く」の時にカウンター。机席はない。
 初めてはいる店というので気になるのが「常連さん」の指定席があるかないか? 気にして突っ立っていたら、厨房のオバサンが「あんたここ」というのでとりあえず座る。この店をやっているのはどうやらこのオバサン一人らしい。向こうに煮込みの鍋が見えたので「煮込みと、酎ハイ」とお願いする。
 大鍋からモツ煮込みを中鉢にとり、なにやら液体をかけている。酎ハイがレモン入りで置かれる。そして「Nihon citron」の空瓶。この瓶は客の飲んだ数を把握するためのもの。このモツ煮込みがいい味わいだ。ときどきモツの旨味を汁に出すつもりなのか、どことなく生臭いのがあるが、まったくそれがなく程良い煮込み加減で汁も含めてうまい。

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 正面の品書きにモツ煮込みなどの丼物が並んでいるが、これならご飯にかけてもいやじゃない。そして酎ハイを一気に飲み干す。気温は下がってきたもののやはり歩きづめに歩くと汗をかく。その熱を含んだ身体に酎ハイがしみ通る。
 オバサンが目の前のガス台でしきりになにやら煮込んでいる。するとボクの後を入ってきたジイサンが「スジくれ」。「スジはないよ。こりゃ明日の分」。「それじゃ、煮込みかな」というジイサンの目の前に煮込んでいる鍋から牛すじ煮込みがすくわれて、また液体を廻しかけて置かれる。
 またカウンターのあちこちから「レバ刺」の注文。オバサンはそのつど冷蔵庫から重そうな牛レバを出して四角い皿に並べて、タレをかけてショウガとネギをのせる。レバ刺は少々苦手なのだ。そこに「ハツ刺」というのがあり、ちょうど注文がきて作り始めた。「こっちもください」と声をかける。

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 このオバサン、注文を聞いてくれたのかどうか、料理がこないとはっきりしないのが難点なのだ。でも今回はすぐに目に前に来た。このハツ刺がよかったのだ。せんぜん生臭くなく、微かに甘味があって醤油ダレと良く合っている。そして「どじょう丸煮」、酎ハイを追加する。
 この「どじょう丸煮」がうまかったのだ。ややさっぱりした辛目の味付け、しっかりドジョウの風味が生きている。これは絶品かも。そう言えばこのあたりは隅田川、荒川に挟まれて戦前、戦後の数年まで、こ用水路、水路が張り巡らされたところ。ウナギやドジョウを扱う店も多かったのだろう。これはその名残かも知れない。

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 思った以上に酎ハイを重ねて暮れきった水戸街道を渡る。それからまた無駄歩きをして東向島(旧玉ノ井)駅に至る。
●これを書いたのが9月のこと。あとで『私の東京町歩き』(川本三郎 ちくま文庫)を読んでいたら「丸好」らしい店が登場していて驚いた

 町屋は地下鉄千代田線、京成本線、都電荒川線の交差するところ。開発が急速にすすんでいて、古き下町の面影をどんどん失ってしまっている。そのビルの硬質な景観が嫌なのでいつも通り過ぎる街だ。そんな町屋ではあるが、ある日知人との立ち話から「町屋に小林というつけ麺のうまい店があるんだよ。飲み屋なんだけど」という話を聞かされ、「それじゃ地図でも書いてくれよ」となって手帳に挟んで置いた。
 そして時間を見つけて千代田線に乗り込んだのである。知り合いから渡された地図は駅と道路・線路の線だけで、あとは「小林の」赤い丸。このあまりに簡単な地図を頼りに、町屋でも古い家並みが残る一角に向かう。それでも店はすぐに見つかった。

 そこは狭い路地に立つマンションの一階。幅2メートルほどの店、カンバンには「もつ焼き 小林」。引き戸を開けると奥が深くて薄暗い。入るとすぐ右手に厨房、モツ焼きの台。カウンターが奥に続き、一番端にモツ煮込みの鍋がある。モツ焼きの台の前にはオヤジさん、奥の鍋前には女将さんが立っている。
 まだ早い時間なので客はボク一人。「つけ麺」の前にモツ煮込み(5本で550円)をお願いする。それと梅ハイ(380円)。ここのモツ煮込みは串に刺さって鍋のなかでで踊っている。鍋の縁に菜箸が置かれているのは勝手にとれと言うことかも知れない。でも女将さんが目の前にいるので「モツ煮込みください」というと、鍋をなんども探って串刺しのモツ煮込みを皿にのせ、さっと煮汁をかけ回し出してくれる。

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 このモツ煮込みがよく煮込まれ、しかも味付けも上々でうまい。梅ハイを飲みながらもついつい鍋でくつくつ煮えるモツを眺めてしまう。女将さんが鍋からモツ煮込みを取りだして、またバットからモツ煮込みの串を補充している。どうも煮込の汁はなんども漉しては継ぎ足し、漉しては継ぎ足ししているようである。皿の煮汁をすすると、適度な塩味とモツの旨味が感じられてとてもうまい。失敗したのは梅ハイ。「梅割のソーダ割」だと思っていたら「酎ハイに梅干しが入ったもの」だったのだ。2杯目からはただの酎ハイ(330円)に変える。

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 モツ煮込みの味がいいので酎ハイがすすむ。そして「ガツ刺し」を追加する。ときどき下町を無駄歩きするようになって覚えたのが茹でたガツのうまさ。これは豚の胃袋であったはず。ガツを細長く切り、酢醤油がかけてある。これもいい味だ。

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 また酎ハイを重ねてしまう。そしてまだもの足りない。考えてみると最近、昼食をとらないことが多く、空腹なのでやたらにアルコールがうまいのだ。最後に焼き鳥(5本で400円)。大好きなレバーを2本入れてもらって、また酎ハイ。締めに日本酒を一杯。

 そして締めの締めに「つけ麺」を平らげて店を後にする。少々食べ過ぎた。千代田線町屋駅に向かっていると、ちょうど荒川線に三ノ輪橋行き電車が見える。ふと思い立って飛び乗り、三ノ輪橋まで。そこから常磐線の南千住まで無駄歩きして東京駅に向かう。

小林 荒川区町屋2の8の16

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