荒川区町屋「小林」

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 町屋は地下鉄千代田線、京成本線、都電荒川線の交差するところ。開発が急速にすすんでいて、古き下町の面影をどんどん失ってしまっている。そのビルの硬質な景観が嫌なのでいつも通り過ぎる街だ。そんな町屋ではあるが、ある日知人との立ち話から「町屋に小林というつけ麺のうまい店があるんだよ。飲み屋なんだけど」という話を聞かされ、「それじゃ地図でも書いてくれよ」となって手帳に挟んで置いた。
 そして時間を見つけて千代田線に乗り込んだのである。知り合いから渡された地図は駅と道路・線路の線だけで、あとは「小林の」赤い丸。このあまりに簡単な地図を頼りに、町屋でも古い家並みが残る一角に向かう。それでも店はすぐに見つかった。

 そこは狭い路地に立つマンションの一階。幅2メートルほどの店、カンバンには「もつ焼き 小林」。引き戸を開けると奥が深くて薄暗い。入るとすぐ右手に厨房、モツ焼きの台。カウンターが奥に続き、一番端にモツ煮込みの鍋がある。モツ焼きの台の前にはオヤジさん、奥の鍋前には女将さんが立っている。
 まだ早い時間なので客はボク一人。「つけ麺」の前にモツ煮込み(5本で550円)をお願いする。それと梅ハイ(380円)。ここのモツ煮込みは串に刺さって鍋のなかでで踊っている。鍋の縁に菜箸が置かれているのは勝手にとれと言うことかも知れない。でも女将さんが目の前にいるので「モツ煮込みください」というと、鍋をなんども探って串刺しのモツ煮込みを皿にのせ、さっと煮汁をかけ回し出してくれる。

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 このモツ煮込みがよく煮込まれ、しかも味付けも上々でうまい。梅ハイを飲みながらもついつい鍋でくつくつ煮えるモツを眺めてしまう。女将さんが鍋からモツ煮込みを取りだして、またバットからモツ煮込みの串を補充している。どうも煮込の汁はなんども漉しては継ぎ足し、漉しては継ぎ足ししているようである。皿の煮汁をすすると、適度な塩味とモツの旨味が感じられてとてもうまい。失敗したのは梅ハイ。「梅割のソーダ割」だと思っていたら「酎ハイに梅干しが入ったもの」だったのだ。2杯目からはただの酎ハイ(330円)に変える。

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 モツ煮込みの味がいいので酎ハイがすすむ。そして「ガツ刺し」を追加する。ときどき下町を無駄歩きするようになって覚えたのが茹でたガツのうまさ。これは豚の胃袋であったはず。ガツを細長く切り、酢醤油がかけてある。これもいい味だ。

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 また酎ハイを重ねてしまう。そしてまだもの足りない。考えてみると最近、昼食をとらないことが多く、空腹なのでやたらにアルコールがうまいのだ。最後に焼き鳥(5本で400円)。大好きなレバーを2本入れてもらって、また酎ハイ。締めに日本酒を一杯。

 そして締めの締めに「つけ麺」を平らげて店を後にする。少々食べ過ぎた。千代田線町屋駅に向かっていると、ちょうど荒川線に三ノ輪橋行き電車が見える。ふと思い立って飛び乗り、三ノ輪橋まで。そこから常磐線の南千住まで無駄歩きして東京駅に向かう。

小林 荒川区町屋2の8の16


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このページは、管理人が2006年9月30日 14:27に書いたブログ記事です。

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