徳島も捨てたモンじゃない、『安兵衛』前編

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徳島も寂れたな、子供の頃から唯一徳島市が都会だと思っていた、生粋の貞光っ子のボクには辛い。
そんな思いで市内逢魔が時を歩く。
その昔、にぎやかだった両国、東新町はどうだろう。
懐かしい丸新デパートがなくなり、シャッターばかりが目立つ。
徳島は昔の良さを資源と考えないで、どんどん捨て去って(ディレート)しまった街のようだ。
このあたりまったく文学的な、自由な発想・能力を大きく欠落させているのが、お役人というもので、また土建業の方ともいえる。
アフガニスタンのバーミヤンの石仏を破壊したタリバン以上に、日本の街作りをする人は危険だというのがよくわかる。
しかもタリバンには信念というものがありそうだが、日本の街破壊者には欲望しかない。
立川談志じゃないけど、「いやだねー」。

なんとなく一杯やりたくなって、歩けど歩けど、うまそうな、惹かれる店がない。
昔飲食店街だった両国には、それなりに店はあるのだけど、一人客ではとても入れそうにない、そんな店ばかりだ。
外から見て。その店のコンセプトが皆目わからない。

ほとんど諦めかけて、駅に近づいたとき、にぎやかな、そこだけぱーっと明るい店を見つけた。
これが『安兵衛』なのである。
路地を入って奥にも一軒、正面にも飲み屋さんがある。
なかでも『安兵衛』は外から一人客が楽しそうに酒を飲んでいるのが見える。

誘われるようにすすーっと入って、カウンターに座る。
女性店員さん、ようするに年齢に関わらずお姉さんが多く、生ビールをとりあえず飲みたいのだけど、なかなか手が空かない。
「生ビール」
「大中小、中でいいね」
うんうんてなもので、腹が空いているので、おつまみを選ぶ。
最初は揚げ物、焼き鳥などがいいが、目に飛び込んで来たのが「ぼうぜ」。
「ぼうぜの刺身できますか」
「できますよ」

「あと肝焼き、柔らかいとりください」
生ビールを一気飲み。

yasubei1.jpg

いいね、この一瞬がうれしいね。
ほどなく「ぼーぜの刺身あがりましたよ」、目の前にイボダイの姿作り。
ボクは密かに徳島を特徴付けるのがイボダイ料理だと思っているのだ。

yasubei2.jpg


「ぼうぜの刺身」がうまかった。
独特の旨み、これが濃いのだ。
これは赤身でもなく白身でもない味わいで、一切れ一切れが口に放り込んで心地よい。
最初から大正解の肴に、少々期待がふくらむのだ。

安兵衛 徳島県徳島市一番町3丁目22



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このページは、管理人が2009年12月14日 21:51に書いたブログ記事です。

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