大阪には夕暮れ前に着くはずだった。
着いたらとにかく「歩いてみよう天神橋筋全区間」と勢い込んでいた。
ところが大阪のホテルに着いて荷物をおいたのが、すでに8時前。
夜となってしまっては商店街を歩いても意味はないだろう。
それでも南からのっしのっしと歩いて歩いて、それでも終わらぬ商店街と、人混みに疲れた。
どこでもいいから座り込みたくなって、思わず暖簾をくぐったのが『松崎屋』。
天神橋筋(大阪市)は当たり前だけど、夜というのに賑わっていて、人通りが絶えない。
それなのに細長く奥に続く店は少々寂しいなー。
これは失敗したのかも知れない。
とりあえず、生ビールに大阪を意識して「きずし」にする。
「きずし」とは「生ずし」と書くのだけど関東では「しめさば」と呼ばれているものだ。
このように関東での「しめさば」を援用したのだけど、本家本元は関西にあり、と明示しておきたい。
この「きずし」に三倍酢をかけ回してる、これなど大阪風でいい。
蒸し暑い日だったので生ビールをもういっぱい。
初っぱなから「きずし」というのも変なら、次に注文したのが豚バラのキムチ炒め。
恐るべし、こんななにげない一品が非常にうまかった。
ここでやっと酎ハイに替えて、最後の一品は土手焼きだ。
最初は静かだった店内もほんのつかの間に奥は満員となっている。
奥に通じる通路沿いのカウンターもお客が埋まり始めている。
関西で味噌煮込みの牛すじ、コンニャクなどの「どてやき」はどうしてもはずせないものだ。
残念ながら、この店には串カツがなく、この「どてやき」が東京から大阪にいろいろ旅しながらたどり着いて「大阪に着いたんだ」と思わせるもの。
でも最近思うことだが、「キムチポッカ」すなわちキムチと豚肉の炒め物なんて「もっと大阪を思わせる」ものなのだ。
店の入り口でとてもしんどそうに、ゆるゆる歩く店のオヤジさんに、
「天神橋筋、これから北にどれほどあります」
聞くと、厨房の奥から
「ここからずーっと行くと天神橋○丁目で、通りを超えて○丁目ですね。それから関線路を超えて」
なんて聞く内に戦意喪失する。
厨房には若い衆二人いるのだけど、とても大阪風に優しいのである。
次回、天神橋を歩くときには、中間地点での一休み、まず間違いなく『松崎屋』だろうね。
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