築地には魚市場とやっちゃ場がある。
関東では青果市場のことを「やっちゃ場」というのだけど、なぜだろう?
広辞苑で「やっちゃ」とは威勢のいいかけ声のことだとある。
威勢のいいかけ声が飛び交う場所ということで「やっちゃ場」なんだろう。
築地正門から右手にあるのが「やっちゃ場」。
ここで見事な「ヒロコ」を見つけた。
「ヒロコ」とは「ひるこ」だろう。
「ひる」はユリ科のネギのたぐいということで、「子」とはまだ小さいと言う意味。
関東では「浅葱(あさつき)」と呼ぶ。
秋田県産であって、これだけで遠く秋田市民市場裏のヒロコや月山竹を売っていた光景が思い出される。
ヒロコはさっと湯がく。
この同じ熱湯の中でスルメイカの短冊を、これまた湯がいて、おか上げしておく。
砂糖、赤酢、煮きり味醂、味噌を合わせて、どろ酢を作り、辛子を練り込む。
あとは説明するまでもないが、食卓に出す直前に和えるだけ。
ちょっと白っぽいが、口に放り込むと、春らしい香りが満ちてきて、スルメイカの甘さと、ヒロコの甘さが合わさってくる。
これに合わせるのは冷や酒に限る。
今回の酒は島根県雲南市木次町の『美波太平洋 純米吟醸』。
山陰なのに太平洋、しかも「美波」とはなんぞや? とは思うものの、なかなかうまい酒だ。
春の香りの和え物に山陰山間部の酒を合わせて、やや深酒となる。
2009年1月10日
木次酒造
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