さて佐賀県鹿島市にあって「鍋島」とはごっつい押し出しではないだろうか? 佐賀の伝統、文化とかを全部引き受けたような。また磁器の「鍋島」だとしたら色絵の華やかさを表現したのだろうか?
この酒、ひとくち含むやうるさくてかなわないのである。ここにあるのはハリウッド映画、CGでもお色気だろうがなんでもぶち込んだような猥雑さを感じる。辛みは感じるものの強すぎる吟醸香、そして旨味も濃いし甘味もある。うるさいなと思いつつも飲んでいて不愉快かというと、どこかにしまりがある。どうにもこの酒の表現に困ってしまうような酒である。
はっきりいってうるさい騒々しい酒が苦手な向きには嫌われるだろうな。例えばヨハン・シュトラウスの子供、ヨハン・シュトラウス二世とヨーゼフ・シュトラウスとの違いのようなもの。ちなみにボクはヨーゼフ・シュトラウスの方が好きだ。でもときどきヨハン・シュトラウス二世の「こうもり」なんて聞きたくなる。この二世がベートーベンよりも世に受け入れられていたというのも「鍋島」が持てはやされる所以かな?
この騒々しさに日本酒としてはキラリとして宝石のようなものを見る。すなわちここに抑制がきいてきたら銘酒になりそうだ。例えば落語家が「枯れて」よくなるような。ボクのような大酒のみには、この若すぎる酒は少々耐えられない。でもうまいことはうまい。このアンバランスを解消するのがこの酒蔵の課題かな。
富久千代酒造有限会社
〒849-1322 佐賀県鹿島市浜町1244・1254-1
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千葉県佐原市馬場本店「純米吟醸 雪山海舟」2280円
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