3月の隠岐への旅は「楽しかった」、「大変だった」が相半ばした。
隠岐の問題点を見る旅であって、その離島ならではの苦しみも喜びもたっぷり感じて、いまだに隠岐の旅のとりまとめができない。
その打ち上げの席に幼なじみの大谷一雄がやってきた。
この男、隠岐水産高校の教師なのである。
徳島県の山奥(徳島県美馬郡貞光町 現つるぎ町)からたどり着いたところが、日本海に浮かぶ島であったというのがまことに面白い。
また島(隠岐)で会えること自体が奇跡ではないか?
さて、この男、酒席にくるやいなや
「隠岐にきたら高正宗のまんといけんぞ」
と切り出した。
その瞬間、酒席のどこかから「高正宗」をかざす人。
そうなのだ、隠岐に暮らす人は、とにかく「高正宗」と決まっているようだ。
閑話休題。
島根県隠岐で好んで飲まれている「高正宗」だけれど、知る人ぞ知る銘酒である。
だいたい隠岐でしか手に入らない。
今回のは松江市在住のヤマトシジミさんからのものなのだが、かなり探して送ってくれたようだ。
我が親友曰く、
「隠岐には辛口の酒がないんじょ(徳島弁)。唯一高正だけが辛口。値段も安すうて、うまい」
この男、昔から「酒は二級酒がうまい。一級酒を飲むヤツはアホじゃ」なんて言っていたのだ。
その「高正宗」が昔のうまい二級酒を思わせる男酒だった。
とにかく切れがいい。そして味がある。
適度に雑味があるのがまたいい。
送ってくれたヤマトシジミさんに「ありがとう」。
そして一言、“隠岐じゃ黙って「高正宗」”なのだ。
隠岐酒造 島根県隠岐郡隠岐の島町原田