新幹線広島駅から芸備線に乗り換える。対面シートのジーゼルエンジンのワンマンカーは広島市街をすぐに出て、山に分け入っていく。
まるでジーゼルカーが山を切り開いていくかのように線路の両側に山が迫る。
両側に生い茂っている草や木の枝が車両をバサバサ、ときにごつんとたたく。
こんなところにもJRの経費節減が及んでいるのだろう。
当然のことだが単線、各駅停車である。
時刻表を見ると一時間に一本という超がつくローカル線だ。
車窓から見えるのは山と川、そして水田だ。
水をはった田には稲が20センチほどに伸びている。
夏盛りを思わせるほどに山が黒く、そして緑が濃い。
人家はどれも立派で母屋は入母屋造り、切り妻造りの蔵があって、その切り妻に様々な文様が描かれている。
このようなゆったりした汽車の旅も久しぶりのことだ。
1時間以上かけて三次駅に到着する。
どうして、こんな山辺に来たのかは別項を立てる。
市役所に立ち寄り、地図をもらっていると「オリンピック」の文字を見る。
ちなみにボクは現在の形のオリンピックは廃止すべきだ、という意見の持ち主なので、ぜんぜん興味がない。
さて三次市は十日町と三次地区に分かれる。物資の集散地として栄えたのは三次であって、駅のある十日町には古い街並みも情緒もない。
また残念なことに三次市役所の観光課はダメだな。地元の情報に乏しいし、職員さんの知識欲も薄い。
もしも三次に来ることがあればお金はかかるが、まずタクシーにのって見ることだ。
この運転手さんの地元の知識は素晴らしい。
三次市役所など、引退したタクシー運転手さんなどを臨時に雇うべきではないだろうか?
観光ガイドには載っていないが三次市は、すばらしくきれいで、たくさんの優れた店(小売店)がある。
この旧三次で見つけたのが「白蘭酒造」だ。
見るからに古い堂々たる建物で、造りからすぐに酒蔵であることがわかる。
ここで直接買い求めたのが、純米原酒だ。
広島の酒というと、甘口であるとして見つけても躊躇して三歩下がる思いがする。
それでは広島の山間部の酒はいかがなものか、これがとてもうまいかったのだ。
原酒であるからアルコール度数が高い。濃厚である。
それでも淡麗に思えるし、さっぱりしている。
そして原酒の飲み方の定番としてひとかけらの氷を放り込む。
精米歩合60パーセントだから吟醸酒になるのだろう。
氷を浮かせた途端に吟醸香が浮き上がってくる。
三次市「白蘭」はいい酒である。
この酒は、ナイトキャップにいい。
じっくりゆっくり香りや旨味を少量ずつ楽しむ。
疲れ果てたときに妙薬となる。
白蘭酒造
三次市三次町1550-2
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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