福井市から足羽川をかなり遡った山間に城下町越前大野はある。江戸後期の城主、土井家では藩の財政破綻を打開すべく煙草などの産物を大阪に直売店を作る。また藩の船を建造して貿易にまで乗り出す。これは「そろばん武士道」(大島昌宏 学陽書房人物文庫)で読んだんだった。と酒とはなんら関係のないことを書いているが、またまた話はそれる。この越前大野は湧き水の町、そしてそこには天然記念物イトヨが棲息。うまい里芋があり、朝市が開かれる。そして江戸時代の面影が残る家並み。当然、朝市も古い家並みも好きなもので一度だけ訪ねている。この朝市で買った里芋のうまかったこと。
と、そろそろ酒の話に戻らなければ。その朝市を見に行った折りに越前大野で買った数本の日本酒に「うまい」という記憶が浮かんでこないのだ。どうにも味わいが重く、燗をすることを基本として作られた日向臭い酒ばかりであった。それを今回はワンカップコレクター太郎と一緒に酒屋に行き、勝手に持ってきたのがこれなのだ。不覚にもレジを打つまで気がつかなかった。そしてなんと値段が510円。「待って待って」と言いたかったがちょっと恥ずかしい。結局、いやな出費となった。
どうして510円かというとこれワンカップには珍しく大吟醸なのだ。きっと吟醸香がもの凄く沸き立つ花花した酒だろう、と思っていた。あにはからんや、ぜんぜん吟醸香が立ってこない。これは香り控えめで味に重点を置いているのだと思ったが、これもほどほど。ワンカップが劣化しやすいとも聞いているが、日本酒専門店であり、別に日向に置いていたわけでもない。「どうしたんだ。これ! 510円はどこへ行ったんだろう?」
●ワンカップコレクター太郎の評価/ボクが選んだんだから、責任を持って使います。家がいいな。
一乃谷
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