滋賀県の酒というのは、なぜにここまで濃厚にいうまいのか? と、いつも不思議に思う。これではあまり量がのめないではないか。そんなときに海人・つづきさんからいただいたのがコレである。ただでさえ旨口で芳醇なとこにもってきて、山廃純米、しかも大吟醸 木桶仕込み。名前も濃厚に重苦しい。
さぞや、と口に含んで、まさにむべなるかなである。吟醸香とともに口中を満たして来たのは濃厚な旨味である。舌の底辺にはずーっと甘みが差してくる。これでは苦みが上部に抜けてこない。重すぎるな、と暗い気分になってってくる。
それで同じく、つづきさんにいただいた鮒寿司を舌に乗せたら。その旨味のある酸味と混ざり合って、この濃厚な酒が俄然輝いてきたのだ。飲んでいる気分としては最上級のシェリーのようでもあるが、もっと上質な旨味を感じる。しかし鮒寿司、「不老泉」と続けると720ミリリットルが足りないのだ。半身残った鮒寿司がうらめしい。
滋賀の酒蔵というのはガンコなのかも知れない。例えば静岡の酒がどんどん様変わりしてきたのとは好対照である。琵琶湖の味によって培われた旨口を多くの酒蔵がそのまま遺伝子としてもって捨ててしまおうとしないのだろう。思わぬところで滋賀の酒を再認識、そして好きになってしまった模様である。
上原酒造 滋賀県高島市新旭町太田1524
http://www.ex.biwa.ne.jp/~furo-sen/index.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
静岡県沼津市「白隠正宗」特別本醸造ひやおろし 後の記事 »
神奈川県秦野市「白笹鼓 丹沢ひやおろし」
コメントする