愛知県津島市にクルマを走らせていて右手に煙突を発見。建物の造りからしても酒蔵に違いない。あまりに殺風景な幹線道路から右折するとそこは別世界。美しい家並み、水を張ろうとしている田、そして農家。こんな一角が隠されている。しかもぽつんとあるのは不思議で仕方ない。
狭い建物と建物の間にクルマを止めてちょうど黒い板塀から出てきた男性に「お酒を買いたいんですが?」と問い掛けると、事務所に案内してくれた。ところが酒蔵では売ってもらえないのだという。これは津島の長珍酒造でも同じことを言われて、地元の酒屋をおもんばかってのことのようだ。
それで津島市の酒屋で購入したのが「雲井 吟醸」である。個人的には吟醸酒というのが苦手である。最近、明らかに吟醸香に重きを置くがために味わいがうるさい酒が多い。その割に味わい薄く甘ったるいなんて飲めたもんじゃない。
それで冷蔵庫で適温にしてものを口に含んで驚いた。ここにはほとんど吟醸香が感じられない。控えめすぎる平凡な顔の娘のような酒。辛口に出来てはいるが味がない。でも淡麗は淡麗、辛口は辛口である。これじゃ記憶には残るはずのない酒であるな。こんな酒を飲むと石川菊姫の「東山」のすごさを改めて感じる。強弓で打たれたような強い旨味、香り。そこまで行かなくてもいいからもう少し「米を醸した」という味わいを引き出して欲しい。
山忠新家 愛知県愛西市稲葉江頭18の1
0.72リットル 1580円
http://www.kumoi.com/
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