今や日本酒にこだわっているといいながら、酒屋の言いなりで仕入れているに過ぎない居酒屋には必ずある酒である。ときどき酒のラインナップを見てうんざりするが、この「黒牛」もその仲間である。だいたい酒蔵巡りと言うか地方に行こうがデパートだろうが月に12升の日本酒を20年以上飲み、この10年ほどやっと落ち着いてきて冷静に酒の味わいを楽しめるようになってきた筋金入りのアル中、ぼうずコンニャクとしてはゴタクを並べるヤツは大嫌いなのだ。そんなヤツラに限ってこのラインナップが大好きだ。
さて、そんな居酒屋が嫌いなのは置いておくとして。「黒牛」という酒を初めて飲んだのは四谷の『鈴傳』である。いい酒だなと感心するとともに、印象の薄さを感じざるおえなかった。なぜならばうま過ぎるくらいにうまいのだが、やりすぎではないかと思ったのだ。すなわち大酒飲みには嫌われるな、という印象。ふくよかで香りもよくてやや辛口、パーフェクトではないか? と思う人は明らかに日本酒がわかっていない。日本酒の良さは欠点にあるのだ。どこと言って欠点がない、そこに魅力が見いだせないと言うことである。
さて個人的には相性の悪い「黒牛」ではあるが「いい酒」には違いない。酒屋でこれだけを置く店があってもその見識はいいと思えるし、センスも悪くない。でも大酒飲みは来ないぞ!
名手酒造 和歌山県海南市黒江846番地
http://www.kuroushi.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
佐賀県、光武酒造場「金波」(確か204円だった) 後の記事 »
愛知県愛西市「義侠」純米酒
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