山形県には銘酒があまたある。そのどれもが切れがよく、それでいて旨味もあるという、「つい飲み過ぎて困ってしまうぞ」という酒ばかり。なかでも「くどき上手」というのは最たるものだろう。その飲みやすい「くどき上手」に辛口の酒がある。日本酒度+20というのは数字からすると超辛口である。それで「ばくれん」なんだな、とは合点がいく。
ここで脱線するが初めて「くどき上手」の酒瓶を見たときにはとても買い求める気にはなれなかった。これがいかにもわざとらしい浮世絵美人画、日本酒の日常的なさりげなさを美と感じるボクにとって少々品がないと敬遠したのだ。ところが行きつけのそば屋でいっぱいやってからは「くどき上手」のうまさにはすっかり「やられて」しまっている。
超辛口の酒とはいうものの、この「ばくれん」、くいくい飲む限りぜんぜん辛口でも何でもない。とにかく喉越しがよく、しかも辛さ、そして旨さがほどよく余韻として残るのだ。これをして「酒飲み殺しだ」と文句のひとつも言いたくなるほどだ。
しかも値段をご覧じろ、なんと2千円札と百円玉二個で買えるのだ。恐るべし亀の井酒造と言っておこう。
亀の井酒造 山形県鶴岡市羽黒町戸野字福ノ内1
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香川県観音寺市「川鶴 本醸造辛口」1800円
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