この名前に腰が引けてしまう人も多いのではないか、なんとも右傾化した強烈なインパクト。まあボクは嫌いだな。でも善通寺の瀬川酒店で話を聞き、その思いは変わってきた。どうやらこの勇ましい酒の名は日清戦争が勃発し、善通寺に新しい第11師団が出来たなどに由来するものらしい。ちなみに瀬川酒店は善通寺での「凱陣」丸尾本店の支店といったもの。瀬川本店でも酒を造っており、ここにも勇ましい「師団一」という今は幻の銘柄が存在した。とにかくこれら無駄に勇ましい銘柄は明治期の風潮からしてまことに牧歌的なものと言えよう。
また幕末に高杉晋作が恋人おうのと逃避行した隠れ家としても丸尾本店は有名である。
この凱陣であるがまことに正統な日本酒の味わいである。本醸造という日常的な酒であるがとても味が濃い。濃いと言ってもしつこいの「濃い」ではなく味わい深いのだ。しかも基調は辛い。なんだか造りがストイックなもので今時の軽佻な酒飲みにわかるのだろうか、この真面目さは。とにかく酒飲みには堪らないうまい酒だと思う。
こんな飾らない銘酒があること自体、香川は凄いと隣県出身者はおののく。
丸尾本店 香川県仲多度郡琴平町榎井93
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特別純米酒「金陵 楠神」720ミリリットル1365円
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