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山廃仕込 香住鶴

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 神戸市垂水に立ち寄ったのは返す返すも大失敗であった。
 目的の市場はすでに息絶え絶えの状況にあり、なにも得るべきものがなかったのだ。
 垂水から神戸線で姫路に出る。
 ここから岡山に行き、特急やくもに乗るつもりだが、西明石で新幹線にするべきかどうかを悩みに悩んだ。
 姫路で降りて、地下の商店街でワンカップを買い求める。
 銘柄もなにも関係ない。
 とにかくあったものを買い求める。
 値段は240円だったと思う。
 なにしろ新幹線の発車時刻は迫っている。
 階段を駆け上がり、ホームを走ってやっとこだまに乗り込む。
 しかし朝から慌ただしい限りだ。
 昼飯には早すぎるし、ここでワンカップで一息なのだ。
 ボクの勝手な思い込みだが、
 鉄路にはなんといってもワンカップが似合っている。

 当然列車が動き出してから蓋を開ける。
 いい香りがして、思ったよりも切れのいい味わいだ。
 山廃仕込みなのに喉越しもいい。
 これはワンカップとしてはよくできた酒ではないか。

 香住と言えば松葉蟹(ズワイガニ)で有名である。
 日本海の魚貝類も豊富であり、ここに「香住鶴」があるのかと思うと、それだけで日本海の香住という町が魅力的に思える。

2009年2月9日
香住鶴 兵庫県美方郡香美町香住区600の2
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/

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 まあ、これほど味のあるカップも珍しい。なんだか時代劇の一場面を見るようではないか。例えば酒飲みの父親に夜だというのに酒を買いに行かされた子、それを危ぶみ、迎えに出た母親。個人的には大好きなもの。見るほど惹かれてしまう。
 しかも204円という値段の割に味の方もいいのである。やや辛口で舌にもたつきを感じない。するっと滑り込む辛みのある淡麗な味わいは好みのものだ。
 この『玄葉本店』の酒はきっと優れいているのではないかと想像する。

ワンカップ太郎の評価/青だからいいかな。絵はよくわからないな
玄葉本店 福島県田村市船引町船引北町通り41

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 これは千葉の海人つづきさんが山口からのお土産に買ってきてくれたもの。これがワンカップなのか、どうか悩むところだが、ワンカップコレクター太郎が「ボクこれ大好きだよ父ちゃん」と喜んでいるので“ワンカップ陶器科”に属するということにする。
 実を言うとワンカップになっている「フグのひれ酒」でうまいものに出合ったことがない。皆、熱燗にしてもどこか生臭い。そんなところにまさに本場下関で作られたものが到来して、期待感が膨らむのは当然だろう。そしてその期待感を裏切らぬ味わいであった。

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 酒自体が燗をしてやや辛口なのがいい。そしてトラフグのヒレの風味もそれなりに感じられるし。もちろん、自宅で焦げ目をしっかりつけたフグヒレに超熱燗を注いだ方がいいに決まっている。それでもお手軽にというなら、これで充分なのだ。

ワンカップコレクター太郎の評価/朝のお茶はこれで飲むからね。誰も使っちゃだめだぞ。父ちゃん、そろそろ茶饅頭も欲しいぞ

下関酒造
http://www.sekimusume.co.jp/

 福生のコンビニにお茶を買うために入ってたまたま見つけたのが千代鶴「TURU-CUP」。まことに見事なデザインで、これならついつい買ってしまいそうだ。
 千代鶴という酒は過去になんどか買っている。それはあきる野市というのが身近な野歩き(生き物や山菜を探して歩く)の場所であるからだ。そこには「喜正」というのと「千代鶴」という2銘柄がありどちらもあか抜けない味わいで東京にあって鄙びて野卑な感じがする。また東京でも奥多摩、あきる野の本来の味わいが甘く重いものだというのがわかって、それがなかなか楽しいものであった。
 そんなことを思いながら飲むワンカップでは意外にいい味であった。これは杜氏の交代でもあったのだろうか? どうも売れ行きのよいわかりやすい酒となっている。
 安酒の代名詞ワンカップとしては飲みやすく、適度に辛口である。これなど世間にもまれて片隅でそっと涙するお父さんをなぐさめてくれそうな味わいである。あきる野は東京にあって里の優しさがあるということか?

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ワンカップコレクター太郎の評価/毎日使いたいよ!

中村酒造(中村八郎右衛門) あきる野市牛沼63

 これは家人が絵柄で買い求めてきた物。200円前後で買ったという。絵柄は控えめで可愛らしいもので2個買ってきたのは家人が気に入ったからである。そう言えば「かまくら」のときに横手に行ったことがある。石坂洋次郎文学記念館と街並みを見るのが目的であったが、ちょうど祭の時期にぶつかってしまった。ところが町中どこにも雪がない。それでトラックなどで雪運びをしている。あれは確か1980年代の終わり頃。なんだかその情景ばかりが思い出される。
 味わいは軽め、秋田の酒であるのに飲みやすい。ぐいっと飲めるのに味わいを感じるのは藏元の「味作り」の考え方が間違っていないせいだ。

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ワンカップコレクター太郎の一言/これで目盛り(計量カップになる)があったらいいな。後、色が寂しい

阿桜酒造 秋田県横手市大沢大字西野67-2
http://www.azakura.co.jp/

 ワンカップでも花はないよな。今回は椿と紫陽花。この花のカップ、ひょっとしたら既製品なのかも知れない。まあ「ワンカップでもちょっと女性の気を惹こう」なんて考えてとりあえず使っているだけ。佐賀県からしてぜんぜん繋がらない。できればせっかく絵柄をつけるなら土地にちなんだものにして欲しい。
 さてワンカップの絵柄は置いておくとして味わいは平凡だな。あまり傑出したところがない。まあ普通酒であるから仕方ないのかも知れない。ただ普通種で200円を切るような酒でも優れた物はある。ワンカップの選択からして、この手の酒に力を尽くしていないようだ。(これはワンカップだけの評価なので悪しからず)
 またこの「光武酒造」は焼酎も作っている模様。日本酒、焼酎、どちらがメインのメーカーなんだろうか? この辺も九州の酒蔵のあり方が見えているのかも知れない。

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ワンカップコレクター太郎の評価/花はさ、嫌いじゃないけど目盛りが欲しい(計量の目盛りはプレミアがつくらしい)

光武酒造場
〒849-1322 佐賀県鹿島市浜町乙
http://www.kinpa.jp/

 喉越しのいい辛口の酒だが、いかんせん味わいに欠ける。うまくないのだ。寒い冬の夜などに飲むのは物足りない。本醸造としては、よくできた製品であるが今一歩たりない酒である。

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ワンカップコレクター太郎の評価/地球儀に新潟県だよ。面白い。どうして地球が緑なんだろう。

千葉市のつづきさんから
●醸造元(株)マスカガミ 新潟県加茂市若宮町1-1-32

 この酒、かなり知名度の高いもの。地酒の専門店でも定番となりつつある。
 この本醸造のワンカップである。当然、味は抜群にいい。辛口であるようであるが、味わいが深い、これが本醸造なのだからお得な酒でもあるわけだ。越前勝山というのは古い歴史のある町。
 過去に一度だけ通り過ぎたことがある。雪の深い時期であった。また訪れてみたいものだし、当然、お土産は「一本義」の一升瓶ということだな。

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千葉の海人つづきさんから

一本義久保本店
http://www.ippongi.ne.jp/ippongi/index.html

 神戸市御影といったら名だたる灘五郷、まさに酒どころのなかの酒どころ。でも近年の評判はそれほどよろしくない。それは大手となって樽買いに酒蔵そっくり買いの、どこで作っているのかわからない酒を、それこそ資本力に物言わせ、ブレンドし、まぜこぜ味わいを作りに作って売り払う、そんな「会社」が目立つからだ。しかも日本全国工業製品のようにどこでも売っている酒というイメージがある。
 そんななかにあって、この神戸酒心館は酒好適米を宮水で仕込んだ昔ながらの灘の生一本を作っているようである。
 そして味わいもすっきり辛口ピンである。飲みやすい、酒飲み好みの味わいもあるし喉越しもよいもの。224円という値段と共にワンカップではベストに近いな。
 またボクにとって神戸と言えばこのオレンジジュースのような色合いが「まさに」思い浮かぶ。どうしてなんだろう。この色を見ると神戸に来たと思うのだ。絵柄にもセンスがあるし、このカップいい。


ワンカップコレクター太郎の評価/鶏がいるだろ、嫌いなんだよヒモがついてるし。船だけにして欲しいよな。色もちょっとださいよ。文字は好きだけど

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●有楽町、「むらからまちから館」で
神戸酒心館 〒658-0044 神戸市東灘区御影塚町1-8-17 TEL.078-821-2911
http://www.shushinkan.co.jp/index.html

 秋田の「秀よし」と言えば近年有名である。よく都心の居酒屋でも見かける。それを交通会館「秋田ふるさと館」でワンカップを見つけたときはうれしかったな。なぜならとてもきれいな、そして見事なカップのデザインであったからだ。なによりも優れているのは写実性においてだ。これが実際に鈴木酒造の建物なのかはわからないが、よく見ないとわからないくらいに小さく「秀よし」の暖簾。
 そして期待しないでグビリとやったところが値段の189円からすると「裏切られた」と思うほどに飲みやすいし、喉越しがいい。
 この庶民がうれしい価格帯のワンカップでこの味はまさに農民から苦労して「太閤」となった豊臣秀吉好みでないかい。

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ワンカップコレクター太郎の評価/僕家や町が出ているのは好きだな。それになんだか透けて見えるだろ、家がさ、それがいい。
合名会社 鈴木酒造店 秋田県大仙市長野字二日町九
http://www.hideyoshi.co.jp/index1.html

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