秋田市には一泊したことがある。夕暮れ時に市内に着き懐が寂しいのでカードの使える秋田グランドホテルに宿をとった。考えてみると若気のいたりである。新潟から北上して疲れ果てていたとはいえ贅沢をしたものだ。そして少しホテルでダウンしたあとに酒を飲んだのが川反町である。ヤツメウナギの貝焼き、ハタハタの干物も食べたし、甘い煮物も食べた。
ここで飲んだ酒が「新政」である。燗をつけてなかなかうまいなと4、5本は銚子をあけただろう。それで翌日、市民市場を見て回った後に1升瓶を買って帰ってきた。これを独り者なので冷やで飲んで、どうにもうまいと思えなかった。当時は酒と言えば岐阜の三千盛一辺倒。辛口のきりりとした味わいが好みであったのだ。それからすると「新政」はゆるいというかズズーンと一本通るような辛さに欠ける。そして味わい自体が軟らかいのだ。
そして久方ぶりの「新政」である。やはりどことなく穏やかな味わいである。これが燗をすると辛さが表に出てきて味わいに切れがでる。それでも味わい自体はやや軟らかく鋭角的な酒の味が好きなのでややもの足りない。
でも徐々にこの柔らかさが好きになってきているのはどうしてだろう。五十路を前に好む味覚が変わってきているようだ。
1升で2300円
新政酒造株式会社 秋田県秋田市大町六丁目2番35号
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